お邪魔虫！ ページ29
「ああ！櫻井くん！」
反吐が出るくらい明るい声が出せた。
「A、」
松本くんが近づいてきて、私の視線の先を見ながら、ぐっと息を飲み込んだのが分かる。
「Aさん、Aさん、ごめんなさい、私たちがふざけすぎました。Aさんのことちゃんと止めてれば、櫻井さんの間に入るのは、ちょっと憚られて、ごめんなさい、」
三浦さんが、ちょっとすすり泣きみたいな声で言う。
なんで？謝らなくていいんだよ、なんで謝るの？
だって、だって、関係ないもの。櫻井くんが他の誰とキスしてたって、私には関係ないもの。彼女でもなんでもない、同僚の、友達だから。関係、ないもの。何も謝る必要なんてないんだよ。それに、私を止めたとしても、櫻井くんがキスしていた事実には変わりないでしょ、私、櫻井くんからキスしてるように見えた、ううん、櫻井くんからキスしに行ってた、だから、だから、
「ごめんね！お邪魔しちゃったみたい。」
怖いくらいに笑えてる気がする。
頭が凄い速度で回って、言葉が矢継ぎ早に出た。
「A、おい、」
「いやぁ、櫻井くん、居ないから探してたんだけど。なんだ、逢引の途中だったんだ。連絡してくれればよかったのに、今日は約束の飲みにはデートだから行けないって。」
「A、なにが………」
ちょっと離れていた二宮くんも近づいてきて、櫻井くんと荊田さんに目を止める、なにがあったの、って言葉を飲み込んだらしい。
「水臭いなあ、もう。そんなに信用できなかったわけ？あはは、…」
「……A。」
「なに、二宮くん。あ、そうだ、櫻井くんはデートらしいから、もう3人で飲みに行っちゃおっか。こんなに寒いんだもん、熱燗飲みたいな。」
「A、」
驚いたまま固まっていた櫻井くんが、口を開いた。
「ごめんね櫻井くん。お邪魔虫は退散するよ。あとは楽しんで！」
うふふ、ってお節介焼きの顔を作って、回れ右。
今まで進んできた道を、早足で戻った。
振り返る瞬間に見えた櫻井くんは、私たちがいる方向に行こうとして、荊田さんにコートの袖を引かれて止められていた。荊田さんの唇が動いて、顔を紅く染める。もう見たくなかった。ほんとうに私お邪魔虫だった。
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あま - いつも楽しく拝見させて頂いてます!!! これからも応援してます!!! 頑張ってください!!!!! 待ってます!!!!! (2020年3月18日 1時) (
レス) id: 5287825b4c (このIDを非表示/違反報告)
さおりんご(プロフ) - とても面白く、いつも胸キュンしながら読ませていただいています。陰ながら応援させて頂いてますので更新頑張ってください！ (2020年3月17日 3時) (レス) id: 27caed879b (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：藤乃 | 作成日時：2020年2月1日 0時
