すっげー好き！ ページ17
「え、さぶ、ろ、くん？」
「ごめんね、ちょっと。ちょっとだけ。」
ぎゅうって抱きしめる腕が、ちゃんと男の人の腕で。私より小さかったさぶろーくんがこんなに大きくなったんだ、って、この場面に不似合いなことを考えていた。…いや、そんなこと考えとかないと、混乱で脳みそがスクランブルエッグ状態になりそうだって言うのもあるけど。
「もう、諦めるからね、これで最後。ちゃんといとこに戻るよ。もうさぁ、さぶろーくんならいいよとか、そんな可愛いこと言われちゃ、抑えきれないよ。Aちゃんのばか。」
「ばかって…」
「ばかだよ、ばか。…好きだよ、好きだったよ。ごめんね、ごめん。Aちゃんがおれのことそんな目で見れないの分かってんだけどさ、うん、ごめん。好きだった。」
「ずる…さぶろーくん、ずるいよね、ごめんなんて謝んないで、謝るの私の方、ごめんね、こんな女好きでいてくれたのに、応えらんなくて。」
「んーん、そう言ってくれるとこも、すっげー好き。優しいなあ、Aちゃん。でも、ちゃんといとこの、家族の好きに戻すね。これが最後。」
「うん、」
「…あー、あったかいなあ、……ちょっと、泣きそう、」
「泣く？」
「……ううん、泣かない、カッコ悪いしね。泣くのは、家帰ってからにするよ。」
「…それ言っちゃ元も子もないんじゃ、」
「あ、そっか。」
抱きしめられながら、くふふ、って笑い合う。さぶろーくんの寂しい声が、少しだけ戻った。
ぎゅー、って強く強く腕に力を込めるさぶろーくん。これが最後、これが、最後。って言わんばかりの抱擁。締め付けられる胸の痛みが伝わってきたみたいに、なんだか私の胸もぎゅーっとなる。
ごめんね、さぶろーくん。
「あ！！おい！さぶろーお前！」
叫ぶ二宮くんの声。
「やべ、見つかっちゃった。」
「公衆の面前で何やってんの！Aも！」
櫻井くんの声も聞こえた。問題点そこ？まぁいいんだけど。
「うらやましーでしょ！おふたりさん！」
抱きしめる力を緩めて、3人の居る方向に顔を向けたさぶろーくんは、抱きしめる瞬間の、あの別人みたいな顔つきではなくて、いつものさぶろーくんに戻っていた。
「うらやましくねーし！」
「柔らかかったよー！ね、翔ちゃーん！」
「なんで俺に話振るのお？！」
「うらやましいくせにー！」
はしゃぐ声が、冷えた京都の空に響いた。
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あま - いつも楽しく拝見させて頂いてます!!! これからも応援してます!!! 頑張ってください!!!!! 待ってます!!!!! (2020年3月18日 1時) (
レス) id: 5287825b4c (このIDを非表示/違反報告)
さおりんご(プロフ) - とても面白く、いつも胸キュンしながら読ませていただいています。陰ながら応援させて頂いてますので更新頑張ってください！ (2020年3月17日 3時) (レス) id: 27caed879b (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：藤乃 | 作成日時：2020年2月1日 0時
