かわいそうな話 ページ3
急に名前を呼ばれてびっくりした。自分か五条さんが何かやったのかと思うと、体がこわばる。
そんな私の様子を見た家入さんはクスリと笑い、足を組んだ。
「そんなに緊張しなくても、五条が迷惑かけるのはいつものことだから」
『いつも迷惑かけてるんですか』
「せっかく反転術式を手に入れたってのに、しょっちゅう私の世話になってるよ」
家入さんは、五条さんへの文句をこぼしはじめた。こんなにも文句が出でくるのは、あんまりよくないと思うのだけれど。
というか、反転術式って何?五条さんに聞いても、なにを言っているのかよく分からない(というかいい感じにはぐらかされてあまり聞けない)。
せっかくなので家入さんに聞いてみよう。私は口を開いた。
『あの、反転術式って……?』
「五条から聞いてない?あいつ教える気満々、みたいな顔してたけど」
『聞いたんですけど、あまり分からなくて』
困った顔をすると、家入さんは少し考えて口を開いた。
家入さんの答えは私からしたら予想できない、意外なものだった。
「ごめん、たぶん今は話すべきじゃない」
『えっ?』
「あいつ、たぶん今は教える気ないよ。Aがある程度の年齢になるまで呪術界とあまり関わらせたくないんだろね」
『呪術界と、あまり関わらせたくない……?』
「そ。御三家の洗礼受けたんでしょ?ってことはいつかは呪術界に入れるつもりなんでしょ。そっからどこにもAを出していないみたいだし、もうしばらくは教えるつもりはないんじゃない?」
『いつか呪術界に入れるつもりなのに、教えてくれないんですか?』
家入さんはたぶんね、と言うとため息をこぼした。
きっと、五条さんは五条さんなりに、色々考えているんだろうと思う。私が呪術界に入るかどうかは私の意思に関係ないとしても、いつ入るかは関係するだろう。だから何なのって感じだけど。
「きっとあいつ、Aに呪術師になる以外の選択肢を示したいんだと思う。あいつ、生まれた時から家を継ぐことが決まってたからさ」
『生まれた時から……』
「かわいそうな話だよね、相伝の術式を受け継がなかったら仲間はずれで、相伝の術式を受け継いだら次期当主と言われる。御三家に生まれた子は、生まれた時からこの二つの道しかない。
もし相伝の術式を受け継がなかったら、生きていくことが難しくなる。どっちにしろ、相伝の術式を受け継がなきゃ、生きていけない」
家入さんはそこまで言うと、私の方をちらりと見てきた。
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ツバメ - 甚爾と(彼女?)妹と偶然出会って知り合いにもなって欲しいです (2022年2月8日 18時) (レス) id: e61b67cd9c (このIDを非表示/違反報告)
ツバメ - 面白いし五条さん妹愛ばかになりつつあると思うけどそれなりに仲良いと思います この子には凄く難しいかも知れませんが伏黒甚爾生存で彼をなんだかんだで助ける事出来ませんか?闘うのも有りですがやっぱり甚爾だけがいなくなってしまうのはダメかもと思うのです (2022年2月8日 18時) (レス) id: e61b67cd9c (このIDを非表示/違反報告)
善(プロフ) - 屑女また企んでそう (2022年2月3日 12時) (レス) @page26 id: e2382ac4cf (このIDを非表示/違反報告)
あまね(プロフ) - すっごい好きすっごいなんかもう好き(語彙力とは)、、、最初からここまで一気読みさせていただきました!1話1話の内容がとても面白くて、もっと読みたい!って思えました!!!更新を楽しみにしています。応援してます!!! (2022年1月8日 20時) (レス) @page12 id: 1a6dd63888 (このIDを非表示/違反報告)
善(プロフ) - 五条達に悪女こそが家族と洗脳の術を使い、夢主ちゃん見ず知らずの誰あんたみたいな術をにしておく (2021年12月31日 6時) (レス) id: e2382ac4cf (このIDを非表示/違反報告)
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