C'est la vie. (ページ3)

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穹に虹を架けるページ3

黄 side

朝起きてリビングに入るとキッチンには金髪の彼。ここ最近は髪が傷んでるからと黒髪に戻ってたのにまた髪色が変わってる。
昨日は黒髪やったのにいつ染めたんやろ。

そばに置かれたクラッチ杖が無ければごくごく普通の男の子に見える。

「神ちゃんおはよう～」
「淳太おはよう」
「神ちゃんだけ？」
「濵ちゃんが、外走って来るって出てった。最近外出れてなかったから気分転換やって」
「あー、色々あったもんな」
「ほんまに」

そう言ってくすくす笑う神ちゃん。少し前まではこんなふうに笑える状況じゃなかったから、笑えてることに安心。

都会から離れた緑豊かな、でも田舎と言うには少し発展した、そんな街にある一軒家。

ここに来るまでの俺は都会の病院で働き詰めやった、楽しかったしやり甲斐もあった。けど心とは正反対に体はついて行かんくて、体を壊して仕事を辞めざるおえなくなった、そんな俺に紹介されたのがここやった。

様々なものを抱えた人たちが自力で生きていくために支援するための家。
ここを紹介された時に言われたのはその言葉だった。

目に見える障がいや病気から目に見えないものまで、ここの住人は1人1人なにか抱えてる。

ここにいる人はみんなこの家のオーナーさんに拾われた人ばかり。

彼らを支えてあげて欲しい。そう言ったオーナーさんの顔を俺は一生忘れないと思う。

玄関の扉が開いて廊下を歩く音が聞こえる。
濵ちゃんが帰ってきたみたいやな。

「ただいまぁ。淳太起きてるやん、おはよう」
「走ってたんやて？おはようさん」

濵ちゃんは俺がここに来る前からおって、俺があかんかった時にいっぱい面倒を見てくれてた。

腰に着いたポーチからぶら下がってるヘルプマーク。これが濵ちゃんも普通やないことを指している。

「汗かいたしシャワー浴びてくるわ。そや、玄関に手紙？届いてたで。多分急ぎのやつ」
「見せて？あ、俺宛のやつやな」

中間淳太様、そう書かれた封筒を受け取る。封筒の端には速達、重要書類って書かれてる。

濵ちゃんは所謂LD。ひらがな、カタカナと簡単な漢字までなら読み書きは出来るって出会った時に本人から聞いた。
濵ちゃんとは基本的に会話で接する。
1つの言葉で複数の意味がある場合は、言葉の意味は理解出来てるから、単語を見せながら読み上げる。そうすると理解できるらしい。

ヘルプマークをつけてるのは理由があるらしいけど、それは俺も知らない。
きっと照史しか知らんことや。