217.狡い人 ページ8
二宮「そっか…」
いつもの定位置
寝室のキングサイズのベッドの隅に胡座をかいて
ノートPCと向かい合い仕事をしている二宮さんに珈琲を淹れて持っていくと
今日の松坂さんとの事を話した
ゆっくり眼鏡を外し黙ったままの彼は
何となく予想外で
「二宮さん？」
怒りはしないけど不機嫌にはなるかなって
二宮「ん？」
拍子抜け…っとはまた違うけど…
「いえ」
その感情にきっと私より先に気づいた二宮さんは意地悪く笑うと
二宮「なに？」(笑)
珈琲の入ったマグカップをサイドボードに置く
「なっ、何でもないです…っ！？」
グイっと引かれた手はあっという間に彼の腕の中におさまる身体
二宮「俺がまた嫉妬にかられて暴走すると思った？」
見抜かれた言葉に逃げられず覗き込まれる顔はきっと真っ赤に違いない
「それはっ」
シーッと人差し指を私の唇にたてた彼は困ったように笑う
そして悩ましげな指先に私の下唇をなぞった
二宮「…必死なんだよ」
いつも自信に満ちた彼はどこまでも余裕に見えて
「え？」
なのに
ずるい
そんな子犬のような目で
なのに撫でる手は大人の男性に優しくて
二宮「貴女に嫌われたくない、どうしようもなく小さい男なの」
そんなことを言う
二宮「今だって貴女の心に入った男を直ぐにでも力ずくで追い出してやりたいけど、それじゃなんの解決もないから」
貴方になら力ずくでも構わないって言ったら二宮さんはどう思うんだろう
彼の白く柔らかな頬をそっと手に包む
子猫が甘えるように私の手に頬を傾ける彼
もうすぐこの手の中にいる美しい人とお別れしなきゃいけないと思うと
決断した事が間違いにも思えるけど
二宮「好きだ」
私だけを真っ直ぐ見てくれる彼に今日松坂さんに言った言葉を思い出す
「私も大好きです」
彼とずっと一緒にいられるように
ぎゅっと抱き締められた身体に彼の香りを貯めるように吸い込んだ
そっと重なる唇は熱よりも温もりを残すようなキスで
彼の綺麗な唇のカタチを唇が忘れないようにと何度も重ねる
離れた唇に彼は私の頬と額に口付けると
天をあおいで
二宮「半年か〜長いな」(笑)
悲しさを拭うように笑う
二宮「お店の片付けは終わった？」
彼の香りも温もりも貯めておけるのは一瞬で
「はい…」
どうにもならないって
だけど
あることを思い付いた
「二宮さん」
彼を身近に感じられる…いい方法
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 2316人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「嵐」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：2-38
| 作成日時：2019年9月22日 9時
