214.死活問題 ページ5
二宮「おいで？」
ギュッと彼の腕に包まれ
薄手のTシャツから伝わる彼の体温に泣きたくなる
グイと彼が身体をずらすと向かい合うように横になった身体
彼は優しく
そして困ったように笑う
二宮「Aちゃんが泣く事は1つもないんだよ？」
私の目尻に滲むそれを流れる前に彼が親指の腹で拭う
「でもっ」
深刻な私の声とは真逆に
二宮「これじゃ俺等お別れしちゃうみたいじゃん」(笑)
彼は悪戯に笑い優しい声に私の髪を撫でた
二宮「別れたらどうなるかお互いにわかったでしょ？二度と貴女を手離すつもりはないよ」
柔らかい声色なのにハッキリしたその言葉に安心して
「はい」
そして二宮さんが何を選択したのか気づいてしまう
二宮「…さっきね、大野さんから連絡があったよ」
彼の刹那的な眼差しにオーナーは全てを話したと理解した
二宮「"Aをイギリスに連れていく"って」
「それはっ」
二宮「わかってる」
「二宮さん」
二宮「四六時中貴女を目の届くところに置いておきたい俺には死活問題だけど」(笑)
私も
二宮「これからの貴女の未来をもらえるなら…」
嫌だって
二宮「半年、行っておいで？」
だけど大人にならなきゃって
「私っ」
オーナーからあの後
本当に好きなら二宮さんと少し距離をあけた方がいいって
イギリスのお店をオープンさせるまでの半年間
オーナーが日本のお店の整理やお客様への挨拶をする間
私に向こうへ行ってオーナーのいない間だけ代わりをつとめて欲しいって
二宮「あのお坊ちゃんがそれで納得してくれるかわからないけど、それでもその時間と距離があっても俺は何も変わらないから」
ぎゅって再び抱き寄せられた身体
「私だって、変わりません…でもっ」
私には二宮さん以外のものがあるなんて絶対になくて
それでも彼は自ら私の一番の選択をしてくれた
松坂さんの事がなくても
私がこれからテーラーとして生きていくためにも
イギリスに行くことは悪い話ではない
きっと二宮さんがいなければお店を任される事よりもオーナーについてイギリスに行く事を選んだだろう
まだまだ学ぶ事はたくさんあるから
二宮「会いに行くって言いたいけど、会いには行かない、会いたくて会いたくてしかたなくなっても」
思わずあげた泣き顔は相当酷かったのか
「…意地悪…ですね」(笑)
二宮さんは意地悪く笑う
二宮「お互い様だよ」(笑)
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 2316人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「嵐」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：2-38
| 作成日時：2019年9月22日 9時
