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ここが何処かなんて
彼の唇に触れた瞬間
いや
彼の伏し目がちな瞳に囚われた瞬間から
頭になんかなくて
ただ
ただ
彼の甘いキスに落ちていく
キスの合間に目蓋をあけると
彼の艶やかで優しい瞳に私が見えて
その距離にかけていたものが埋まっていく
深いのに慰めるような唇
二宮さんだって…
思う度に涙はまた溢れた
どれくらいかわからないけど
不意に離れる唇
軽くリップ音を鳴らしたキスに彼は呆れたように笑った
二宮「切りないな」(笑)
「へ？」
間抜けな返事しか出来ない自分に彼は高い声で無邪気に笑う
海外
皆が打ち上げ花火に夢中と言えど
こんな場所でって急に我にかえる頭にカーッと血が上がるように羞恥に顔が熱くなる
二宮さんは"続きはまたあとでね"って耳に寄せた唇に囁き悪戯な笑顔に私を羞恥に追い詰めた
何も言い返せない私に彼は笑いにたまった涙を拭うと
クシャリと私の頭を撫でた
二宮「ごめん(笑)…せっかくだからさ、遊園地、行かない？」
意地悪く口角をあげそんな事を言う
「行きます！」
現金だなって自分でも思ってしまうけど二宮さんと遊園地、しかもイギリスで
そんなの即答してしまう
二宮「決まり」(笑)
差し出された手にそっと手を重ねると指先をからめ繋がれる手
打ち上がる花火の中
移動式遊園地までの道
彼と繋ぐ手だけでも嬉しくて
その綺麗な横顔に胸が溶けそう
だけど少し落ち着いた頭があることに気づく
彼には珍しくスーツ姿だったからだ
コートを着ていたせいもあって気づかなかったけど…
「二宮さん、会場にいました？」
二宮「さあ？どうだろうね？」
綺麗に持ち上がる口角に確信が増す
「絶対にいましたよね、これ、しかもオーナーが仕立てたスーツ」
そう
二宮さんが着ているスーツはオーナーのもの
わざわざ彼がそれを着ている時点であのパーティー会場にいたのは99.9％だ
二宮「さすが」(笑)
「何でっ…」
私の問いかけをとめるように
二宮「閉園までに時間がないから急ぐよシンデレラ」(笑)
彼は少年のような笑顔に私の手を引くと
「ちょっ、まってくださいっ」
急に走り出した
程なくして着いた移動式遊園地は打ち上げ花火が始まったせいもあって疎らな人だった
そして
二宮「遊園地なんて考えたら来るの初めてかな…」
そんな光景を遠い目に見る二宮さん
彼の視線の先には仲良く手を繋ぐ
家族が
楽しそうに笑ってた
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作者名：2-38
| 作成日時：2019年9月22日 9時
