彼のスーツを脱がす時７【NINO】 (ページ3)

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183.俺専属ページ3

二宮さんの入っているシャワーの音だけでも動揺してしまう自分

ただ待っているだけも変な緊張感で苦しくて

時間があまりないけど

キッチンで簡単な朝食を作っていると

バスルームのドアが開く音がした

急速にあがる鼓動を抑えながら振り向くと

二宮「ピッタリ」

頭の中で思い描いていた以上にスーツを美しく着こなした二宮さんがいた

二宮「何か言ってよ」(笑)

前に二宮さんがオーダーしたものとは真逆にしてみた今回のデザイン

肩幅がカッチリとしたスクエアショルダー

シェイプが効いたタイトなウエストライン

スラントポケットに

特徴的なディティール

所謂ブリティッシュスタイル

生地の風合いもだけど

初めて彼を目にした時の彼のユニセックスなイメージより

彼をより近くで感じたからこその

男性的な印象

それを強く漂わせるスタイル

「す………てき……過ぎますっ」

初めて袖を通した時の

二宮「聞いておいてゴメン、テレる」

彼のその瞳の輝きに

胸がいっぱいで

「私も無理です」

ただ

ただ見つめる事しか出来ない私に

二宮「ありがとう」

そっと優しく彼は髪を撫でてくれた

「はい」

二宮「…何もかも」

スルリと落ちるように撫でられた頬

「え？」

彼は私の視線じゃなく

指先を辿るような思わせ振りな視線をむける

二宮「俺専属にしたいんだけどな」

「二宮さん？」

"専属"…………って

　
二宮「それはまた今度ね」(笑)

クシャっと撫でられた髪に彼は答えをくれないままキッチンへ

二宮「朝ごはん、作ってくれたんだ？」

「え？…あっ、はい、時間もあまりないので簡単にですけど」

二宮さんが作ってくれたみたいなお洒落な朝食には程遠い

ご飯にお味噌汁、だし巻き卵に、お浸し…

朝食にと用意はしてたけど

スーツの事で時間がなくなってしまった

二宮「じゅうぶんでしょ、食べていい？」

だけど二宮さんはニッコリと笑うと

「はい」

美味しそうにそれを食べてくれて

二宮「こういうの、いいね」

って、何かを思い出したように少し悲しげに笑った

「二宮さん？」

二宮「何となく実家の親を思い出す味っていうのかな？」

実家…っとわざわざつけたのは彼の本当のご両親ではない

叔父様叔母様の事を言っているのかなって

あれ以来彼の過去はあまり聞けないけど

彼が話したい

こんな風に自然とそれを言葉した時に聞けたなら

今の私にはじゅうぶんだと思えた