彼のスーツを脱がす時７【NINO】 (ページ21)

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201.美しい人←9/17 ページ21

朝の静かな光

チカチカする視界に残る余韻が強すぎて

自分の呼吸だけに支配される

うつ伏せに倒れる私に

多い被さるように重なる身体を急いであげる彼

後ろ手に縛られたネクタイを丁寧にほどくと

荒い息のままに動けない私の

二宮「大丈夫？」

乱れた髪をゆっくりと撫で直してくれる

「…大丈夫………じゃないです」

その返答にクスクス笑う彼の顔を見る余裕すらないのに

二宮「でも、最高に気持ちよかったでしょ？」(笑)

彼のその一言に呼吸に一生懸命な息が止まり彼を見た

綺麗に持ち上がる口角すら計算で

だけどそんなしてやったりな笑顔も素敵で

はだけたYシャツ姿に乱れた前髪の彼に燃え尽きたはずの火に簡単に火がつきそうになる自分

「…何だか悔しいです」

二宮「珍しいね、貴女がそんな風に言うの」(笑)

もとは私の配慮足らずな行動のせいだったのに

「ごめんなさい、お仕置き…」

二宮「そういう意味じゃないよ…甘えてくれるのが単純に嬉しいだけ」

彼はいつも私を自分以上に大切にしてくれる

二宮「悔しいって俺と対等にいてくれるからだろ？」

だからこそ私は彼が見る私のようにそれだけの相応しい女性なんだろうかって

「対等なんて、二宮さんのような素敵な人と私が釣り合ってるとは思ってません」

グイっと引かれた方に仰向けになる身体

二宮「わかってないね」

ゆっくりと撫でられた頬に金縛りにあったように動けないのは見上げた先にいる彼があまりにも綺麗だから

二宮「言ったら貴女は俺に支配される側と思ってるだろうけど」

滑らせた指先

二宮「全て貴女しだい」

親指の腹に下唇を柔くなぞられ

二宮「権限は貴女にしかないんだよ」

彼は艶やかな視線に私の唇を見ると困ったように笑う

二宮「俺をコントロールできるのは俺じゃなく、貴女だけ」

キスすることもなく彼は私の手をとると身体を引き上げるように起こし

二宮「だから俺の最優先順位の一番上はAちゃん…」

繋いだままの左手を持ち上げると

意味深な視線にソコに口づけた

二宮「貴女なんだ」

まるで何かの約束のように口づけられた左手の薬指に心臓がギューッと掴まれる感覚に苦しい

二宮「でも、こんな時間を持てるようにそろそろ仕事に行かないと」(笑)

茶化したようにそんな事を言う二宮さんだけど

やっぱり優しいって

だって、見た時計の時間は

私が毎朝起きる時間

「はい」