39.酸素マスク ページ9
社長…二宮さんの事が出るだけで
閉めかけたドアが簡単に開いてしまう
"社長のお気に入りじゃなければ"って
私が二宮さんのお気に入りだと仮定して
そうではなかったら櫻井さんは私とのお付き合いをしたっていう
櫻井さんの言葉の真意より
「え…？」
二宮さんが私を気に入っくれてるという夢みたいな話に頭がいっぱいになる
櫻井「Aさんも社長も似た者同士だ」(笑)
櫻井さんの笑い声に我に返る
私には櫻井さんと二宮さんが似た者同士に見える
二人ともこちらが気づかない気持ちに気づいて
先を回るから全く掴めない
櫻井「ああ、だから二人とも…好きなんだなって」(笑)
何て返していいのかわからないでいると
櫻井さんの笑いが大きくなった
困る私に始めは笑ってるのかと思った
だけど
櫻井さんの視線が私じゃないところをとらえてる気づいた時
店員「お客様困りますっ」
店員さんの声に
櫻井さんが笑いを堪えるように口元をかくすと
ダンっとテーブルについた白い手に
荒い息づかい
二宮「誰…かっ………酸素マスク」
心臓が止まって
苦しいって胸が呼吸をせがむのに
私は目の前の人に囚われたままだ
「二宮さんっ！？」
店員「櫻井様申し訳ございません」
櫻井「いえ大丈夫です(笑)申し訳ありませんがお水をグラスにいただいても？」
店員「畏まりました」
ざわつく店内にスマートに頭を下げる櫻井さんは終始どこかこの状況を楽しんでいて
間もなくしてお水を持ってきてくれた店員さんからグラスを受けとると
走ってきたのか息をととのえる二宮さんにまるで母親のように優しい視線をむけそのグラスを渡した
お水を一気に飲み干す横顔
鼻筋から上がる薄い上唇そしてシャープな顎に
ほとんどない喉仏が綺麗なラインを描く
お水を飲んで落ち着いたのかばつが悪そうに
子猫みたいに手で顔を隠し
小さな咳払いをした
二宮「お見合い相手がAちゃんなんてきいてないから」
櫻井さん、今日がお見合いだと伝えてたんだ
なら急なお仕事があって
しかも私が相手なんて…二宮さんからしたら何してるんだよっだよね
櫻井「僕も知りませんでしたよ？」(笑)
二宮さんの視線が私にも向けられはねあがる心臓に必死に答えた
「わっ、私も知りませっ」
だけど言い終わるよりも先に急に掴まれた腕
二宮「きて！」
有無を言わせず私を立ち上がらせると
急に歩き始めた二宮さん
「えっ、あのっ…」
櫻井さんを見ると笑って手をふっていた
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作者名：2-38
| 作成日時：2018年1月16日 10時
