35.いい男×いい女=勘違いの方程式【side NINO】 ページ5
間もなくノックとともに
櫻井「失礼します」
部屋に入ってきた翔ちゃん
櫻井「下までお送りいたします」
須永「すみません、ありがとうございます」
翔ちゃんの開けたドアに向かう彼女の後ろ姿を見ると
受け取ったばかりの資料に目をむけた
須永「あのっ…二宮さん」
不意に呼ばれた名前に視線をあげると
「はい？」
普段の
仕事のスイッチを切った須永さんがこちらに駆け寄る
頬をピンク色に染め
慌ててバッグから何かを出した
須永「これっ」
余裕ない可愛い姿
俺の心にたった１つのものさえなければ何かが動いた瞬間だったかもしれない
だけど
俺の心を動かすのは
目の前の綺麗で可愛い人じゃなく
「…これ」
彼女の手の中にあるものだった
須永「差し出がましいとは思ったのですが大事な商談だと中嶋からも聞いていたので」
高級な長方形のケースには上質なリボンが巻かれていて
ケースの上には
大野テーラーの刻印
「大野さんの…」
須永「二宮さんにお伺いしてたテーラーさんに見立てていただいたんです」
「A…大野さんに？」
須永「はい」
無意識に出した彼女の名前を呼びなおす
間接的にも久々に彼女の名前を口に出して
たったそれだけのことに
嬉しいと思ってしまう自分が馬鹿みたいで
呆れて笑ってしまった
須永「二宮さん？」
そんな俺にキョトンとする須永さん
「いや、すみません(笑)こっちのことなんでどうか気にせず」
須永「とても素敵なテーラーさんでネクタイにまつわる逸話がとてもロマンチックで」
「…逸話？」
須永さんと翔ちゃんが出て行って一人になった部屋
須永さんの話を聞きながらあけたケース
そっとそれを開いて
ネクタイを手にした
彼女が…
Aちゃんが
選んでくれたネクタイは赤い…いや深紅のネクタイで
須永さんが彼女から聞いたという逸話に出てくる
赤いスカーフとリンクした
彼女からのプレゼントではけしてないけど
俺に似合うようにと見立ててくれたソレは俺には特別なものだった
そのネクタイの本当の意味なんて関係ない
例えそれが彼女にとって仕事でしかなくても
唯一今この時
俺と彼女を繋ぐものだから
首にかけたソレは
勿論ワイシャツなんて着てない俺には間抜けな姿でしかないけど
深紅のネクタイが自分をいい男にしてくれてるように思えた
ねぇ…Aちゃん？
貴女が仕立ててくれたスーツにこのネクタイをしたら
貴女は喜んでくれるだろうか
36.運命の悪戯←1/23→←34.まだ見ぬ虹に【side NINO】←1/20
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 2764人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「嵐」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：2-38
| 作成日時：2018年1月16日 10時
