彼のスーツを脱がす時 2 【NINO】 (ページ27)

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57.好きなものページ27

二宮「とても美味しかった…とくにメインが…」

食事が終わるとわざわざシェフが部屋まで挨拶にきてくれた

苦手と言いながらも最後まで綺麗に食べシェフへの心遣いも忘れないのは

さすが若くても社長さんなんだなっと思わせる

二人の会話をぼんやり聞いている私に

シェフ「ありがとうございます…デザートいつお持ちしましょうか？」

不意に彼の視線が私をとらえる

二宮「食べれそう？」

「はい」

シェフ「では直ぐにご用意いたしますね」

部屋から出たシェフに少しだけほどけた緊張

「お肉お好きなんですか？」

それに気づいたのか彼は優しく笑うと

悪戯めいた瞳にニヤリと笑った

二宮「ハンバーグ」

「ハンバーグ？」

二宮「俺の好きなもの」

今さっき彼の大人一面を見たばかりだからなのか

二宮「なに、何かおかし？」

なんだか可愛いなって…

「いえ」(笑)

二宮「ふーん？」

「覚えておきます」(笑)

二宮「Aちゃんは好き嫌いないの？」

「好き嫌いはあまりなくて…でもアイスクリームが大好きです」

私の答えに今度は二宮さんが笑う

「なっ、何で笑うんですか」

肘をついた手に顎をのせからかうように笑う彼

二宮「多分さっきAちゃんが俺を笑った理由と同じじゃない？」

「えっ」

同じ…って

二宮「当ててみてよ」

…可愛いってこと？

そんな自惚れたこと言えるわけがない

「わかりません」

二宮「嘘つき」(笑)
　
「だって…」

二宮「アイスクリームなんて可愛いなって思ったの」

上目遣いに平気な顔でそんな事を言われたら一気に顔の熱が上がる

きっと私の顔は真っ赤になってるに違いない

「っ…え…………っと、あっ！そうだ！」

二宮「下手だね」(笑)

「…あまりいじめないでください」

二宮「ごめん、で？何がそうなの？」

「スーツ、最終確認させてもらってもいいですか？」

二宮「勿論(笑)テーラーさん、よろしくお願いいたします？…っとその前に1本電話してきてもいい？」

「はい、勿論です」

スマホを手にすると彼は席を立ち部屋を出た

有り得ない鼓動を鳴らす心臓にもう体力の限界なのかクロスがはられたテーブルにへなりと抜けたようにうつ伏せた

深呼吸をすると起こした顔に

夜景が綺麗に見える窓ガラスにうつる自分と目があう

「だらしがない…顔」

緊張してるはずなのに

スーツを着ている彼があまりにも綺麗で終始見とれてしまう

ドアが開く音がしてはねあがる心臓

あといくつ心臓があればたりるだろうか