君の唇にキスさせて 3 【紫】

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夕方、定時になって周りが少しずつ帰り始める中パソコンとにらめっこ中です。


1度葉柳さんに見せに行こうかな。


席を立ち葉柳さんの所に行くと彼女はバッグの中に荷物を入れ髪を整えていた。


「あの、少しお時間大丈夫でしょうか？」

「もう、なに？」

「日程や場所はある程度出来たのですが」

「私、今から早く帰らないといけないの」

「あ…すみません。」


1度も話聞いてくれないじゃん。

少しだけ強い香水の匂いがした。


合コンですか？それとも、デートですか？


手に持っている資料を挟んでいるファイルを自然とぎゅっと握りそうになった。


そうしている内に葉柳さんはカツカツとヒールの音を立てて帰ってしまった。


バタンっとドアが閉まると同時に「はぁ…」とため息が出る。


ここで突っ立っててもなんも始まらない。


席に戻ろうと踵を返したら手の中にあるファイルをスっと取られた。


「見せて」


深澤さんまだ帰ってなかったんだ。


…話聞いてたのかな


資料を見てる深澤さん


「…聞いてましたか？」

「んー？伏本さんがなんか葉柳さんに話してるなぁぐらいだよ」


それは本当なのか嘘なのか


彼が読み終わるのを待っていると深澤さんはファイルを閉じて私の頭にポンっと当ててきた。


何？


「伏本さんの事だから今日終わらせて、火曜の朝見せて手直しして水曜に出すと思うから

少しずつ付け加えていこうか」


先輩の深澤さんだ。


「はい！」


返事をすると深澤さんはニッと笑い自分も資料を持ってくると言って机の方に帰っていった。


自分もここで諦めてはいけない。


席に戻り色んなファイルを開いてもっと詰めた方がいい所を探していると深澤さんも資料を持ってやって来た。


「イス持ってくるわ」


椅子をカラカラと引っ張って来た深澤さんは横に座って調べていく。


「でも、深澤さん

これ、経理部にまだ聞いてなくて」


「あー、それは任せて。
経理の鬼がいるし」


そう言って携帯を開いて誰かにメールをしていた。

多分阿部さんかな



パソコンに文字を打ち込んだりルーズリーフに書き込んだりして考える。


…毎年これを考える人はどうやって進めてきたのかな？


経費は出来るだけ前年と同じぐらいに納めたい


そして被らないようにしたいな


2人で話し合ったりして考えているとやっと形になり終わった。


パソコンを閉じて背伸びをし時計を見ると夜の9時


…集中したな


今から帰ったら…もう夜中かな

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