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……あ


顔をあげようとしたら涙や酸欠で目がチカチカして上手く見えない


けど


だけど


「っ、か…、ぁ」


「そう。神山


話さなくてええから、大丈夫やから」



歩いてたはずじゃないの?


そう言いたいのに声も出ないし息もできない


苦しい、苦しいよ


「、くる…っ、し」


「うん。苦しいな

俺の声に合わせてみ


吸って…吐いて、吸って、吐いて」


言われた通り息をしたくても上手く出来ない。

怖い、怖い


このまま私…


「大丈夫やから。
死なへんよ


大丈夫、大丈夫」


背中を撫でる手が心地よい


その手に合わせて呼吸を整えていく


神山さんの左手を握っているとその手が離れようとした。

だめ


「だ…っ、」


「?…分かった

握っててええから。大丈夫やで」



少しずつ意識がはっきりしてきた。


周りの人も大丈夫と言ってくるがまずギャラリーが出来てることに恥ずかしくなる


なんで過呼吸起こしてるの?


いつもは無いのに


恥ずかしい


すると誰かが担架を持ってきたのか数名の男性がやってきた。


「大丈夫ですか?

担架を持ってきたんで医務室の方に行けますが」


え、医務室?

…担架


「すみません。

俺がこの子連れていくんで担架大丈夫ですよ。」


「…え」


「え、でも」


「大丈夫ですよ。
もう落ち着いてきたので彼女」


担架を持ってきた男性はそれを聞いて戻っていった。


「肩貸すから立ち上がれる?」


「…はい」


触れてきた手はゆっくりと私に合わせていく。


この手に明日から触れることは無い


だけどどこか苦しくなる


行かないでって




変な気持ち




医務室に着くと神山さんは私から離れて何も言わず出ていこうとした。


「待ってください」


声をかけると足を止める


「あの、なんで来てくれたんですか?」


後ろ姿の彼はこっちを向かない

けど低い声がした。



「別に。

倒れてたからびっくりしただけ。



治ったのなら良かったわ。
気いつけて過ごすんやで?」


こっちを向けばいいのに


…でもそうだよね。



「…分かりました」


自分がまいた種なのに


その言葉を聞いて神山さんは医務室から出ていった。



「大丈夫?」

「はい」

「神ちゃんが来てくれて良かったわ。」


様子見に来た中間さんが近くの椅子に座って話す。


「神ちゃんはなんて?」

「…気をつけてねって」

「なんやそれだけか


後でお礼言いに行きなね」



…お礼言わないとな


落ち着いたら営業課に行こう

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なす(プロフ) - ハル春さん» こちらこそ忙しい中ありがとうございます! (2019年11月6日 20時) (レス) id: 8ea933b9e5 (このIDを非表示/違反報告)
ハル春(プロフ) - なすさん» コメントありがとうございます!全部ですか!?嬉しいです、ありがとうございます!更新頑張っていきますね (2019年11月5日 23時) (レス) id: d930f7625b (このIDを非表示/違反報告)
なす(プロフ) - ハル春さんの小説全部読んでますどれも大好きです!更新頑張ってください! (2019年11月5日 13時) (レス) id: 8ea933b9e5 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:ハル春 | 作成日時:2019年10月7日 0時

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