拒否権【緑】

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朝行くと机の上に紙が置いてあった。

ん？


なんだこれ


紙を手に取ってみると






「支所に異動」



口に出してみてもそう書いてあった


まじか


しかもここが本社だとして異動先は隣町の所


近いけど…今住んでる所から出ないといけないかも。


それにまさか異動になるとは



その紙を見た中間さんは怒って上に言いに行くとか言ったが私はそれをとめた。

それをすると中間さんもタダでは済まない


ここは何も言わず出ていった方がいい


「中間さん、異動は1ヶ月後なのでそれまではここで普通に働きます。

人事部以外の人にはこの事内緒にしていてくれませんか？

ここは穏便におさめたいので」



そうした方が多分いいだろう。
噂は流さない方がいい


「ええの？言わんくて」

「？…はい

仕事に支障を出したくないので」


それを聞いた中間さんは一瞬ため息をつくと頷いてくれた。


仕事はちゃんとしよう


もう


普通に生きた方がいいから



仕事をしていくと営業部から資料を持ってきた人がいた。


…明るい人だ


よく会議の時にも見るけど真面目で明るい人なんだよな


するとその人は中間さんに資料を渡したあと私の所に来て話しかけてきた。


「以前研修の時サポートして下さった方ですよね？

ありがとうございました」


「あ、いいえ

あの時は神山さんが手伝って下さったからこそ出来たので彼に感謝ですよ」


そう伝えるとその人は私に名刺を渡してきた


「名乗るのが遅くなりすみません。
俺、桐山って言います

神山はいい俺の相棒ですよ。
俺も助けられてばかりです」


笑顔で答える桐山さんを見て自分も自然と笑顔になる

「営業課の事でわからないことがありましたら連絡して大丈夫なので

またこれからもよろしくお願いします」


「あ…ありがとうございます」


またという言葉に詰まってしまった。


その「また」はこの1ヶ月間で無いかもしれない。


それでもこの会社は回っていくのだ。


…しっかりして


仕事してちゃんと普通に過ごそう。


仕事の引き継ぎもちゃんとして普通に帰って普通に寝て


1ヶ月なんてあっという間なんだよ









「…ふー……荷物片付けつらっ」


少しして家の中をまとめ始めた


…引越し業者の人が来てくれるから大きなものは当日でいいとして。


服とか本とかまとめるの大変



寒い為暖房を付けて片付けているとインターホンが鳴った。

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