恋焦がれて 2 【津田健次郎】

46 ページ4

「ん？

お願い？？」

滅多にそんなことを言わないからか何何？という風に見ている津田さん


ここに来ていろんな人を見て思った。


「…一緒に

今晩は…寝てくれま、せんか？」


日本とは違い恋人らしいことをしてるのを見て自分の立場が分からなくなった。

日本人は確かにいるけど彼らと話すことはそうそうない。

電話したくても断ってたから今
目の前にいる彼が凄く幻に思えてしまう。


言った後恥ずかしくなり目をそらして飲み物が入ったグラスを口につける。

変に思われたかな？




「いいよ。」

「…ぇ？」

「俺も寝たいし。

明日は手を繋いで街の観光にでも行こうか。
ヴェネツィアは水の都と言われてるから凄く綺麗なんだ。

あー、あとAに触れたいと思ったら抱きつくと思うけどそこはご了承ください」


スラスラと言う内容はさっき私が言ったことだ。

でもまるで

恥ずかしがってる私を庇うかのような言葉


キョトンっと座ったまま津田さんを見ていたが自然と笑顔がこぼれた


「ははっ、庇われたー」

「んー？俺面白いこと言ったか？」

「嬉しい言葉だったのでつい。」


クスッと笑う私を津田さんは優しい表情で見ていた。


ご飯を食べ終えお風呂に私は直行


お湯を浴びると体が火照るのが分かる。

「…夢じゃないんだ」


イタリアに来たのはあの女性のせいだって私は知ってる。

でも彼は知ってるのかな

クリスマスにここにいる時点で彼女は…


モヤモヤとしたものが心の中をグルグルとしていく。

お風呂から上がりリビングの方に行くと津田さんはベランダの方にいた。

…タバコかな？

電子タバコだと思う。

ゆっくりとベランダの方に行き後ろから抱きつこうとしたら腕を掴まれて向きを変えられた。


「今はやめといた方がいい。

タバコ吸ってるし。

それとさみぃから中に居な」

津田さんはタバコを片手に持って私の右腕を掴んだまま言ってきた。


「…はい。

分かりました。」


部屋の方に行くと津田さんはベランダのドアを閉めてまた空の方を見ていた。

…悩みでもあるのかな？


やっぱりこの関係が


そう思うと薬指にある指輪が光って見えた。

…うんん

信じないと


私は彼を信じて。支えないと


寝室からストールを持ってきて

ベランダの戸を開けて津田さんの肩にかけた。


「？おい

そこまでしなくていいんだぞ」

「風邪ひきますよ。
これ暖かいので」


そう答えると津田さんは黙って私の頭を撫でてきた。

47→←45

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す