恋焦がれて 2 【津田健次郎】

55(special2) ページ13

神定の目を見て言うと神定は俺の腕を無理矢理解いて部屋を出ていった。

…父親に言いに行くな

でも先に手は打ってある


一時して会社の電話がなった。

取ると父親が焦った口調だった。

内容は俺の娘が解雇させられていた。というのと婚約破棄とはどういう事だということだった。


…そんなの簡単だろ


「我社への口出しは厳禁でしたよね？
なのに…社員の1人を無理やり移動させたとか。
…それは契約違反です。それと、俺はもうこの会社の社長ではありません。

辞めます。

てことは今までの俺との契約は破棄となります。

そして我社と貴社との関係も白紙とし事実上なんの関わりもなしとします。

…自分たちの行動のせいだ。
自分たちで落とし前をつけろ。
そして、自業自得としときますね。

では」


相手は金持ち。
金を使って手段を選ばない。
だからこっちは頭を使う

契約書とか作ってて良かったな。

それと法律事務所とも連携しててよかった

彼らの力がなければここまでこれなかった。


彼らはこの「会社」との契約ではなく「俺」との契約だった。

なら、俺一人が被害が来るだけで会社には来ない。

そんな契約でよかった


自由とかした俺の身はすごく軽くて


なんて小さな世界だったのだろうかと思えた。


でも多分ここまでやろうと思えたのはAのおかげ


彼女に出会えたからこそ守ろうとする意識が強くなった。

少しずつ仕事を部下に移していって引越しの準備とかするか

…今のうちにどこか島の仕事を調べとくか


そしていつか彼女のもとに行って迎えに行こう


その時は次こそ


結婚しましょうと伝えよう。


俺は一生そばに居る決心はついてる。

だからあとは

ゆっくりと彼女を待つか。


…俺らって待つと待たせるの関係だな。

それでも俺は絶対に彼女を幸せにする。

いや、やめたらずっと一緒に居たい。



肩書きとかどうでもいい


彼女の


「…Aに触れるだけで」


十分なんだ。



こんなに恋焦がれるものか

目を閉じると彼女の声が今にも聞こえてきそう。


『津田さん』

「…俺はもう重症化してるなぁ」


一緒のように


彼女も恋焦がれていたら嬉しいと思う自分が怖い。


「…会いたいなぁー」


椅子に座り顔を隠して呟く俺の声は聞いてても恥ずかしいぐらい恋をしているやつの声だった。



恋焦がれていくなら


もっとそこまで落ちていきたい。

そう思うと少しずつ眠くなってきて


俺はゆっくりと息を吸った。



完

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