2人で "Crown Rain" (ページ15)

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ユキの不安ページ15

no side

　とあるスタジオの広い部屋では、4人のアイドルがもうすぐで11時を回ると言うのに、必死に練習をしていた。

フウカside

ﾊﾟﾝﾊﾟﾝ

　私は手を叩き、練習を中断する。

「ストップ、ユキちゃんまた間違えているわ。」

「っ…！…ごめん。」

　ユキちゃんは俯いてしまい、さっきのところのステップをずっと踏んでいる。

　…最近はずっとこうだ。…あの日から…。

　必死に練習しているユキちゃんは、いつものニコニコして明るいユキちゃんとは思えず、思わずユキちゃんの肩を優しくトントンと叩く。

「落ち着いて、ユキちゃん。一度休憩しま…。」

「…私って、そんなに退屈かな…。」

　ユキちゃんがぽつりとごぼした言葉を聞き、私は固まる。

「…つまらないかな…。」

　ユキちゃんは、ポロポロと涙をこぼして泣いていた。

「…双子の姉で、お互いに考えている事だって分かるのに…。…何で…。」

　そのまま泣き崩れてしまったユキちゃんを支えと、あわあわしたみーちゃんと、タオルを持って来てくれたアキちゃんから受け取って、なるべく優しくユキちゃんの涙を拭い、背中を優しく撫でる。

　…ユキちゃんがここまで追い詰められた理由は分かる。

　恐らくユウ君の事だろう。

　数日前のユウ君の笑顔を思い出してしまい、私自身も疑問に思ってしまう。

　何で小さな事で笑えたのか。作り笑いでも無く、心の底からの笑顔。

　ユウ君は何もかも完璧に熟し過ぎるせいで、ユキちゃんと組んでいた時も、アイドルの中で一位を決める大会で一位を取った辺りから、撮影とファンサ以外では一度も笑わなくなってしまった。

　…何があったのかユキちゃんは教えてくれないけど、ユウ君に聞いてみたら…、

　『アイドルなんて、つまらない。』

　と言われてしまった。

　…勿論ショックだったけど、何故か闘志が湧いて来た。

　…私もアイドルになって、ユウ君にもう一度でもいいから、アイドルは楽しいと思って欲しいと思った。

「…確かに、…ユウ君にとって、BF4が目指している物はつまらないかもしれない。」