◇セブンデイズ ページ1
博士は言った
「よろしく」
はずんだ声 ニコニコ笑う
私はココロを持つロボット
「よろしくお願いします」
私もニコリと笑った
朝
日差しが眩しい
「今日は水族館に行こうと思うんだが」
博士はチケットを差し出し言う
「ええ行きましょう」
水は不思議と光を集め
キラキラ光って 魚を包み込む
綺麗と心から思えた
「綺麗ですね！博士」
「そうだな
とても懐かしい」
博士は本当に懐かしそうな顔をする
私はココロを持つロボット
貴方のその顔はきっと別の人を思ってる
なんでか分かってしまった
博士は言う
「君はずっと一緒にいてくれるかい」
「えぇ もちろん」
幸せを感じる
コロロを持ってよかった
そう思える
ある日見てしまった
私とそっくりの顔をした女の子の写真を
真っ白の肌
水のように透き通っている髪
そして優しく光るこの瞳
胸が痛い
博士が私に言っていたあの言葉は
私に向けてじゃなくて
あの子の姿をした私に向かってなんだ· · ·
私はココロを持つロボット
コロロなんて欲しくなかった· · ·
こんなもの· · ·
瞳からは自然と涙が零れる
月明かりがカーテンからすこしもれていた
冷たくて凍ってしまいそうだった
七日目
博士はいつになく悲しそうな顔をする
「君は今日死んでしまうんだよ」
「そっか」
驚けなかった
私は気づいていたんだ
ココロを持ってしまい
耐えられなくなって壊れていくこの体を
博士は泣いている
「その涙は私に向かって
じゃないんでしょう？」
最後にかわす会話がこんなことなんて嫌だな
「7日で死ぬって分かってても
君を作ってしまったんだ」
酷い人だ
「そうですね
私自身を博士は絶対忘れちゃダメですよ」
私はココロを持つロボット
私のことを忘れないでほしい
こんな気持ちにさせた代償ならきっと安いものだろう
ゆっくり目を閉じる
「僕は君自身を愛していたよ｣
本心なのだろうか
今の私にはそれすら認識ができなかった
プツンッ―
【セブンデイズ・おわり】
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