にひゃくさんじゅういち！！ ページ35
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夜。
お兄ちゃんは家に帰るなり、
鞄を置いて家を出ようとした。
「お兄ちゃん!まさか、月川っていうヤクザのところに行くつもり?!」
伊藤「そんなわけ。スーパーにアイスでも買いに行こうかなって」
「嘘でしょ!だって昨日ホームランバーの箱で買ったじゃん!!」
伊藤「う……」
「ねぇ、そんな急がなきゃダメ?
今井さんが完治するの待ってからの方が……」
必死に止めようとするけど、
頑固なお兄ちゃんは他に選択肢がないらしい。
ゆるゆると首を振って、
私が掴んでいた手をゆっくり離した。
伊藤「ごめん、A。すぐ帰ってくるから」
「怪我したばっかりなんだよ?!」
伊藤「大丈夫」
「大丈夫じゃない!じゃぁ私もいく!!」
伊藤「Aは危ないよ」
「やだ!もうやなの!」
伊藤「……」
「お兄ちゃんが、知らないところで、大怪我してるのなんかもうやだ! 行くなら私も連れてって!!」
もうこりごりだ。
大切な人が、傷つくのを見てるだけだなんて。
一人でおいてかないで、お兄ちゃん。
両手で力強く兄の制服を握りしめる。
その手を、お兄ちゃんがそっと包んでくれた。
伊藤「………わかった。わかったよ、A」
「ほんと?」
伊藤「その代わり、乗り込むのは俺だけ。
Aは建物の下で、やばくなったら
助けを呼びにいく。いい?」
「………うん」
伊藤「じゃぁいこっか」
闘いに行く前とは思えないほど、
柔らかい笑みを浮かべたお兄ちゃんは
私の手を一度背中から離させて、
ぎゅっと握ってくれた。
………その手が少し震えていたのを
私は気づかないことにする。
だって、どっちの手の震えかわからないから。
商店街を抜け、人の少ない裏道を進むと
銀龍会の建物がすぐに見つかった。
やけに静かだけど。
伊藤「………うし。じゃぁA。
30分待って俺が帰ってこなかったら、
誰でもいいから助けを呼んできて。
………三橋以外で」
「……三橋さん以外?」
伊藤「うん。谷川とか佐川とか。
アイツらの家もそう遠くないはず」
大きな手が、離れてく。
もう一度兄を呼ぶと、やっぱり優しい笑顔だ。
伊藤「それじゃぁ───」
?「伊藤クン、Aさん」
背後から、聞き慣れない声がした。
振り返るとそこには、黒髪眼鏡の三橋さん。
伊藤「てめぇ!」
「三橋さん!」
三橋さんは、とことこと歩み寄ってきた。
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nasiremon - 伊藤兄がかっこよすぎる！ 涙腺妨害ですよ…同感できるところが多い…うぅぅぅ… (2020年5月13日 1時) (
レス) id: fa0cba8ed9 (このIDを非表示/違反報告)
紫雨(プロフ) - 牡丹杏。さん» ぜひぜひ続きも見てください(*´∇｀*) (2018年12月27日 15時) (レス) id: b7016d0be3 (このIDを非表示/違反報告)
牡丹杏。(プロフ) - えーここまでで涙ボロボロなのに、続編見たらどうなるの。私の涙腺w 楽しみにしてまーす (2018年12月27日 15時) (レス) id: 48235b53b0 (このIDを非表示/違反報告)
紫雨(プロフ) - ライアーさん» コメントありがとうございます！とても励みになります！これからもキュンキュンしてもらえるようらがんばります！！ (2018年12月26日 14時) (レス) id: b7016d0be3 (このIDを非表示/違反報告)
ライアー - 続編すっごく楽しみにしてます。頑張ってください！応援してます！！！ (2018年12月26日 13時) (レス) id: ca359b9f59 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：神室紫雨
| 作成日時：2018年12月16日 17時
