situation (ページ38)

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後ろを振り向けば、俺と目が合った男性。

手には………大量の薔薇の花束。

相手には悪いが、
生憎俺は相手のことを知らない。

「あの……すいませんが、どちら様ですか？」

「……知らんかったか…。やっぱそうやんな…。あっ、向井康二言います！」

向井康二……。名前も初耳。

俺が向井…さんのこと
知らないことも分かってたのか。

『知らんかったか。やっぱそうやんな』

って言ってた気がする。

「向井…さん。えぇー……告白、しましたよね？ここには俺以外いないんですけど…。

それ……俺に言ってます？」

「はいっ！！」

………えぇーーー、本当に言ってる？

だって、俺にとっては向井さんのことを今知った訳で、何もかもが初耳。

それにも関わらず、付き合って下さいは……。

見た目の感じじゃ、悪い人じゃ決して無さそうだし…ほっとくのも可哀想。

「確認ですけど…
俺のこと、好きなんですか？」

「そうです！あなたのことが好きです！
だから、付き合って下さい！」

もう一度それを言い、頭を下げ手元にある花束を俺に差し出す。

「あのっ！……俺、失礼なんですけど向井さんのこと知らなくて…。嬉しいんですけど、流石に初対面で付き合うのは気があれなんで……。

〝友達〟からじゃ駄目ですか？」

「…友達？分かりました！！
友達からで！よろしくお願いしますっ！」

「……よろしく、お願いします…」

元気が良くて声が大きくて、

まるで……犬みたいだな(笑)