situation (ページ14)

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阿部ちゃんが
俺の家庭教師になってから数ヶ月。

「康二は大学専攻は
何にしようと思ってるの？」

阿部ちゃんには〝康二〟と
呼ばれるようになった。

「んー……理系かなぁ～。
阿部ちゃんと同じの」

「おお～、じゃあここ(・・)での勉強も
頑張って貰わないと」

夏という季節のせいで、部屋は暑く
開きっぱなしの窓の外からセミの声が。

額に汗を掻く阿部ちゃんは
夕日に照らされて直視出来ない。

「……阿部ちゃんは、彼女おるん？」

「…………ひ、み、つ(笑)」

その反応じゃ絶対おるやん。

しかもさ……相手が男じゃそもそも
恋愛対象に入らんかったら意味ないし。

「じゃあじゃあじゃあ！…駄目って分かってる恋でも、好きだなって気付いたらどうする？」

「んー……」

腕を組み、唸りながら
椅子の背もたれに寄りかかる阿部ちゃん。

「…両想いだったら、かな。彼氏がいても奪うかも。相手の人が俺といることが嫌じゃないなら好きって伝えるよ。まあ例外もあるけど」

「……へぇー、」

…やっぱり、阿部ちゃんは大人だ。

俺の目には阿部ちゃんは輝いてて、

爽やかで、

でも瞳の奥深くには何か隠してて。

……もっともっと先生のこと知りたい。