situation (ページ13)

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□あべこじページ13

:

「今日から向井くんの家庭教師になります。
阿部亮平です！よろしくね」

玄関先で、爽やかな笑顔を浮かべ
そう言った男の人。

母さんが「高校3年生になるんだから家庭教師位
つけた方が良いでしょ」なんて言うから、いつの間にか今に至る。

「……えぇー、向井くんの通ってる高校ってエリート校なんだってね。凄いじゃん(笑)」

「へぇー、そうなんすね。よく分かんないです」

「俺必要かなぁ～。とりあえずテストしようか」

…なんで塾じゃないねん。

どうして家庭教師なん？
2人きりとかドキドキしまくりなんやけど。

相手は男だからそんな訳ない、そう思うかもしれない。けど俺は違う。

だって……俺、阿部ちゃんに
一目惚れしちゃった。

「……まあまあ間違えてるとこあるね。んー…学校のテストは全教科ほとんど満点なのに…」

「あはは…」

学校のテストも理系はわざと間違えようかな…。

これじゃ矛盾してるやん。

「はいっ、じゃあこの公式解いて」

唯一、阿部ちゃんが
学校の先生じゃなくて良かったと思う。

こうやって家で2人っきりになれないし、先生じゃ手が届かない。けど〝家庭教師〟なら。

可能性はある。

かといって告白なんてまだ考えてないけど。