アラサーちゃんとＤＫくん

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翔太に腕を引かれたまま乗り込んだエレベーター。
ふぅって溜め息を零した彼が、ネクタイを少しだけ緩めた



『緩めんの早すぎ』


渡「いーんだよ、仕事は終わってんだから」


『あ、そういえば滝沢社長にお礼してないや。後で連絡しないと』


渡「ああ、もらった？」


『うん、まだ中身見てないけど』


渡「髪留めだってさ。お前いっつも黒いゴムだから、それくらいのお洒落はしろって」


『なんであんたが先言うんだよ』


渡「俺らには焼肉奢りだったのに、女にはとことん甘いんだよなタッキー」


『翔太、あんたいつか殺されるよ』



私の言葉にへらへら笑った翔太は、なんだかんだ滝沢社長から可愛がられてると思うからちょっと悔しい。

普段ポンコツだし、抜けてそうでチャラチャラしてるのに、やる時はやるし何だかんだ仕事出来ちゃうんだよなって。
結局翔太には何一つ勝てなくて、いつも私は二番手だ。



渡「てか、お前最近ちょいちょい付き合い悪くね？」


『…そう？』


渡「……は？お前もしかして、男出来た？」


『んなわけ』


渡「だよな」


馬鹿にしたように鼻で笑った翔太の背中を力いっぱい引っ叩くと、いってぇぇぇっていつものクソデカボイスがエレベーターに響き渡る。


うるさって耳を塞げば、丁度ロビーに到着したエレベーター。
そのまま翔太から逃げるようにそそくさと足を動かした。

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