聞き飽きました ページ23
「…なんなの、まじで」
『だから離れないって言ったじゃないですか』
お風呂場のドアを開けたうっちーさんは、膝を抱えて座り込んでいた私の姿を捉えると、呆れたようにため息を零す
「髪の毛くらいかわかしなよ」
『ちょ、そのまま出てこないでくださいよ！』
「…そんなとこいなきゃいいじゃん」
裸のまま脱衣場に出ようとしてきたうっちーさんを慌てて止めて、ドアの隙間から差し込んだバスタオル。
やっぱり磨りガラス越しに聞こえるのは盛大なため息で、
「…へんなやつ」
『もうそれ聞き飽きました』
ぎゅっと膝を抱えて磨りガラス越しのうっちーさんにそう言い返せば、
急に大きな音を立ててガチャっと開いたお風呂場のドア。
咄嗟に顔を手で覆えば、膝を抱えた私の前にうっちーさんがしゃがみ込む気配がして、ふわっと香ったシャンプーの匂い。
『…ななな、なんですか』
「ちゃんと言い返せるようになったじゃん」
『…へ？』
「…なんかむかつくけど」
顔を覆っていた指の隙間からちょっとだけ覗き見たうっちーさんはびっくりするくらい優しい顔をしていて、
その表情に驚いて思わず顔から手を退けた私の頭をそっと撫でたうっちーさん。
『な、…』
「…飼い犬がひとつ芸おぼえた気分」
『っ、なんですか、それ。てか服着てくださいよはやく！』
腰にタオルだけ巻いたうっちーさんは小さな溜め息を零すと、自室に向かうのかそのまま脱衣場を出ていくから慌ててその後ろを追い掛ける。
「…どこまで着いてくんの」
『どこまででもです！』
「あそ」
その後着替えてるうっちーさんに背中を向けながらも部屋に居座るわたしに、何度か溜め息を零していたうっちーさんだったけど、
それにつれて海で見た時のような今にも消えてしまいそうな儚さはだんだん薄れてる気がするから
ちょっとだけ、ちょっとだけだけどわたし、うっちーさんのさみしいを埋められてるのかもしれないって自惚れそうになった。
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ゆう - このお話が大好きで未だに何度も読み返しています。アオさんの紡ぐお話をまた見れる日が来るかは分かりませんが、今でもずっとだいすきなお話です。 (12月25日 15時) (
レス) id: 9b89e968b5 (このIDを非表示/違反報告)
ちぴ - お話終わってしまったんでしょうか？続き気になります＾＾ (2022年8月6日 3時) (レス) @page24 id: d3cdc5c0b2 (このIDを非表示/違反報告)
りぴ(プロフ) - はじめましめ！おはなし一気に読まさせて頂きました。本当に描写も言葉も引き込まれる作品で、この作品の虜になりました！もう更新はされないのでしょうか、、？（ ; ; ） (2022年1月29日 23時) (レス) id: 46981ee839 (このIDを非表示/違反報告)
爽 - 更新ずっと待っていたので嬉しいです！ (2021年11月20日 21時) (レス) @page24 id: 034faa10a9 (このIDを非表示/違反報告)
あゆみ(プロフ) - 初めまして。更新ずっと待っていました！☺︎アオさんの書くお話が1番好きなのでこれからも楽しみにしています！ (2021年9月19日 22時) (レス) id: 334d2140a9 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：アオ
| 作成日時：2021年2月12日 4時
