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『え、あけてくれるんですか』
「こっち」
『は、はい』
肩を掴まれたまま振り向けば、思ったより近い距離に思わず俯く。
冷たい指先が右の耳たぶを掠めるから、びくって震えた肩
「どこ？ここでいいの？」
『あ、うっちーさんのセンスにお任せします』
「あそ」
また無表情になって冷たくそう返事をしたと思ったら、
耳たぶに添えられたピアッサーと、カチャって音が耳元でして、
『ちょちょちょちょ！！』
「…なに」
『なんかもっとないんですか！いくよー！とか、さんにーいち！とか！！』
「めんどくさ」
嫌そうな顔でそう言ううっちーさんの言葉に、
この人にあけてもらうのが一番怖いかもしれない、
やっぱり湧くんあたりに頼もうかな、って思ったのに、
『痛っ』
「ばか、動くな」
急に耳元でしたガチャン！っておっきい音と、耳たぶに走った鋭い痛み
思わず耳元に手を当てて肩を上げた私に、うっちーさんがぺしんと頭を軽く叩く
「…まがってない」
『っ、』
顔を近づけてピアスの確認をしてるうっちーさんがやたら近くて、
花火の煙のにおいに混じってふわって香るあのいい匂いに頭がくらくらする気がする
いきなりだし、痛いし、近いし、もうこの人ほんと心臓に悪い
「ひだりも？」
『は、はい…その予定でしたけど、めちゃくちゃ痛いこわい』
まだヒリヒリしてる右耳は熱を持ってジンジンしてて、
じんわりと目に涙が溜まっていくのがわかるから、
『や、やっぱり、っ』
「…びびり」
さっきよりぐっと近付いた距離と、ジンジンする耳元で聞こえたうっちーさんの癖のある声。
『え、ちょ、まっ…、っ』
右耳に触れる柔らかい感触と、掠める吐息に背中がビリビリして、
咄嗟に掴んだうっちーさんのシャツに、身体から力が抜けていく感覚
『まっ、てっ』
「…あいたよ」
小さなリップ音を鳴らして右耳から離れていったうっちーさんの唇。
呆然としながらそっと触った左耳には気付けばピアスがついてて、
すごい、右に気取られすぎて全然痛くなかった、って、
『っ！！』
「顔あか」
『誰のせい、っ』
慌てて離したうっちーさんのシャツに、やっぱり馬鹿にしたように鼻で笑う彼、
逸らした視線の向こう側で、うっちーさんの腕時計片手にニヤニヤしてる黒田くんが見えた。
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ゆう - このお話が大好きで未だに何度も読み返しています。アオさんの紡ぐお話をまた見れる日が来るかは分かりませんが、今でもずっとだいすきなお話です。 (12月25日 15時) (
レス) id: 9b89e968b5 (このIDを非表示/違反報告)
ちぴ - お話終わってしまったんでしょうか？続き気になります＾＾ (2022年8月6日 3時) (レス) @page24 id: d3cdc5c0b2 (このIDを非表示/違反報告)
りぴ(プロフ) - はじめましめ！おはなし一気に読まさせて頂きました。本当に描写も言葉も引き込まれる作品で、この作品の虜になりました！もう更新はされないのでしょうか、、？（ ; ; ） (2022年1月29日 23時) (レス) id: 46981ee839 (このIDを非表示/違反報告)
爽 - 更新ずっと待っていたので嬉しいです！ (2021年11月20日 21時) (レス) @page24 id: 034faa10a9 (このIDを非表示/違反報告)
あゆみ(プロフ) - 初めまして。更新ずっと待っていました！☺︎アオさんの書くお話が1番好きなのでこれからも楽しみにしています！ (2021年9月19日 22時) (レス) id: 334d2140a9 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：アオ
| 作成日時：2021年2月12日 4時
