しんどい ページ3
大学のカフェテリア、目の前でサンドイッチを頬張る和田を見ながらオレンジジュースに手を伸ばした。
ここカフェテリアのオレンジジュースは、ちょっと苦くて酸っぱいからあんまり好きじゃない。
好きじゃないはずなのに、決まって頼んでしまうのは何でなんだろうね。
「A、飯は？」
「気分じゃないからいらない」
「あっそう」
だからそんな不健康そうな顔してんだよって、ガリガリの和田に言われたくないよ、うるさいなぁ。
顔を顰めたわたしを気にすることも無く、また自分の食事へと戻る和田は細い足を組み直してから気の抜けたような声を漏らした
「あ、」
「おぉ、おはよう」
右手をあげてそう言った、ギターケースを背負った見慣れた姿
緩やかに口角を上げると私たちの席にするっと違和感なく腰掛ける
「昨日だいぶ飲んだね」
「の割には全然へーきそうじゃん、バナさん」
「そう？いつも顔色悪いからでしょそれ。今めちゃくちゃ体調悪いから、すげー二日酔いだから」
「あ、ほんとだ。いつもよりやつれてる気がするわ」
ケラケラと笑う和田がわたしに目配せをするから、見えないテーブルの下で細いその足を蹴っ飛ばした
「Aちゃんは？結構酔ってたけど、ちゃんと帰れた？」
「か、えれたよ」
嘘付けって顔する和田に、今度はその足を踏んづける。
黎くんの前では、あんなことバレたくない、なんて。
そんな隠し事無意味だってわかってるのに、黎くんはわたしがその後どこで誰とどうしようがきっと１ミリ足りとも興味なんかないのに、
「お酒弱いのに、ほんとよく飲むよね」
「弱いけど好きだからさ」
ウソ、別にお酒なんか好きじゃないけど。
黎くんと居られる口実が欲しくて、ああいう場ならきっと黎くんも来てくれるから。
お酒なんか好きじゃないよ。
浴びるように飲んでしまう癖は、一緒にいたいなんて思いながらも自分勝手にしんどくなるわたし自身が嫌になるから。
ガヤガヤとうるさいあの場所で、真っ赤な顔で会いたくなったなんて。
骨っぽい手が触れるスマートフォンにはいくつの愛が散りばめられているんだろう。
結局迎えに来たあの子に勝手にダメージ食らってさ、
こっそり見送った背中が、ぶつかって近寄って、笑い合って。
ああ、しんどい。
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ぴぴ - 1番好きなお話です、完結待っています (2023年2月9日 23時) (
レス) id: d9098e31de (このIDを非表示/違反報告)
なな - とても面白いので完結させていただきたいです (2022年6月15日 21時) (レス) @page39 id: 15d12ffd06 (このIDを非表示/違反報告)
アオ(プロフ) - 0さん» 飛んできていただけたなんて(; ;)まだ更新を待ってくださっている読者様がいると思うととても心強いです！！ありがとうございます(; ;)最後まで頑張りますのでどうぞお付き合い下さると嬉しいです！！ (2021年11月4日 23時) (レス) id: eaedf0312e (このIDを非表示/違反報告)
アオ(プロフ) - ゆゆさん» だいぶ登場人物が増えました…。作者も完全に終わりを見失っておりますが、まだ読んでくださっているようでしたらどうぞ最後までお付き合い下さると幸いです(; ;) (2021年11月4日 23時) (レス) id: eaedf0312e (このIDを非表示/違反報告)
アオ(プロフ) - 華子さん» だいぶ前のコメントに今更お返事ですみません。嬉しいお言葉ありがとうございます(; ;)まだ読んでくださっているようでしたら最後まで頑張りますのでどうか暖かく見守っていただければと思います！ (2021年11月4日 23時) (レス) id: eaedf0312e (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：アオ
| 作成日時：2020年11月18日 16時
