ゴミくず ページ2
カーテンの隙間から差し込む光が眩しくて、ガンガンとする頭を押さえながら目覚めた朝。
気分はすこぶる悪いのに、朝から可愛い笑顔を浮かべた奏が小さくキスを落として離れていくから、少しだけ満たされる心。
「おはよ」
「おはよう」
アルコールの残るまだ気だるい身体にくらくらと目眩がする。
そんなわたしを余所に背中を向けた奏は慌ただしくシャワーを浴びて、家を出る準備。はいはい、鍵はいつものとこね。
吸いかけの火が消えた煙草が灰皿の上で虚しく取り残されてる。まるでわたしみたいだ、なんて。
「じゃ、先行くね」
「またね」
奏のベッドの中からはまだ出られそうにない。
奏は最後に枕に顔を埋めたままのわたしの頭を撫でると名残惜しくもなんともない素振りで、ガチャリと玄関のドアが閉まる音がした。
またね。また一緒にいてね。
「…またやってんの」
奏と入れ違うようにこの家にやって来たのは和田で、
裸のまま布団に包まるわたしをゴミくずを見るような目で見やった後、大きく溜め息を吐いた。
「お前らさ、いい加減にしろよ」
「べつに誰にも迷惑かけてない」
「じゃあなんでいつも泣くの？」
和田の言葉通り、グラつく視界と鼻の奥のツンとする痛み。
グレーの枕カバーがわたしの顔まわりだけ色濃く染まっていく。
どんなに埋めようともがいたって、埋まるはずなんかない穴は
結局ひとりで置いていかれる朝に、ついていけるわけなんかなくて
頭悪いなって、やっぱり思う。
それでも脳裏にチラつくのは黎くんのあんな顔だけで、
痛くて苦しいわたしは奏に手を伸ばすしかないんだ。
「ゴミくず」
「しってる、っ」
そうやって和田に向けられる軽蔑の言葉が、またわたしの心をぐちゃぐちゃにする。
ゴミくずなんて言いながら、頭撫でないでよ。なんで和田がそんな顔すんの。
しんどい苦しい
どんなに手を伸ばしたって、届かない背中は、
どんなに足掻いたっていつでもわたしを無いものにする。
呼吸ってどうやってするんだっけ。
やっぱり頭悪いなぁ、ほんとさ。
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ぴぴ - 1番好きなお話です、完結待っています (2023年2月9日 23時) (
レス) id: d9098e31de (このIDを非表示/違反報告)
なな - とても面白いので完結させていただきたいです (2022年6月15日 21時) (レス) @page39 id: 15d12ffd06 (このIDを非表示/違反報告)
アオ(プロフ) - 0さん» 飛んできていただけたなんて(; ;)まだ更新を待ってくださっている読者様がいると思うととても心強いです！！ありがとうございます(; ;)最後まで頑張りますのでどうぞお付き合い下さると嬉しいです！！ (2021年11月4日 23時) (レス) id: eaedf0312e (このIDを非表示/違反報告)
アオ(プロフ) - ゆゆさん» だいぶ登場人物が増えました…。作者も完全に終わりを見失っておりますが、まだ読んでくださっているようでしたらどうぞ最後までお付き合い下さると幸いです(; ;) (2021年11月4日 23時) (レス) id: eaedf0312e (このIDを非表示/違反報告)
アオ(プロフ) - 華子さん» だいぶ前のコメントに今更お返事ですみません。嬉しいお言葉ありがとうございます(; ;)まだ読んでくださっているようでしたら最後まで頑張りますのでどうか暖かく見守っていただければと思います！ (2021年11月4日 23時) (レス) id: eaedf0312e (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：アオ
| 作成日時：2020年11月18日 16時
