＃１１ ページ11
「…ジェシーさん、」
ジ「はあ…、早く車に乗りましょう」
ここで逃げればよかったのに、あまりにも切なそうな、悲しそうな顔をするから、何故か足がすくんでしまう。
パパが突然消えて音信不通になった3ヶ月前、わたしに「心配ありません、何でもお申し付けください」って言ったジェシーさん。
…嘘つきじゃん。結局、この人も同じだもん。
誰もわたしのことなんて気にかけないし、どうなったっていいんだ。
ジェシーさんは息を切らせて焦った様子で、わたしを車に乗せようと、右腕を引っ張ってくる。
「…いや、！離してくださいっ」
ジ「お願いですから、言うことを聞いてください」
「どうしてですか？」
ジ「え？」
どうして、わたしはこんな目に遭わなきゃいけないの？
どうして、パパはわたしを見捨てたの？
どうして、ジェシーさんはそんな顔をするの？
どうして…
でも、
聞きたいことは、沢山あるけど、何を聞いたって今の生活は変わらない。どれを聞いてもジェシーさんを困らせて終わり。わたしには聞く資格がない気すらした。
「…何でもないです。ごめんなさい」
大人しく車に乗ると、運転席には初めて見る人
高「はじめまして、高地優吾です。」
「…はじめまして。」
小さな声で挨拶だけ交わして無言の車内。ひたすら窓の外の景色を見る。家帰ったら怒られるかな、会長にも、雅子さんにも。こんな、家のためにならない人間、ほかっといてくれたらどれだけいいことか。
しばらく車を走らせると家に着いた。既に空は暗くなり始めていた。
「…ありがとうございました」
一応、2人にお礼を言って玄関に向かう。ジェシーさんが部屋まで送ると言ったけどお断りした。絶対怒られる、そう思いながらも平然とした振りをして部屋に向かうも、会長も雅子さんも出てこない。
まあ、夜ご飯は当たり前に抜きだけど。夕食時間にリビングにいない人に、食事は用意されない決まり。
別に食欲もわかないし、適当にお風呂に入って吸い込まれるようにベッドに入った。
ーーーーーー
展開がゆっくりですがお許しを( ; ; )
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作者名：スイ | 作成日時：2022年8月30日 2時
