黄瀬涼太はソクバクされたい。

Strategy 04 ページ25

｢ぅー、上手くいかないーっ！ちょーっとヤキモチ妬いてほしいだけなのにーっ！｣

｢まだやってたのか｣

隣で着替える赤司っちが呆れた口調で言う。

だって、Aったら全然思うように動いてくれないんだもん。
正直ソクバクどうこうよりも、ここまできたら絶対にヤキモチ妬かせてやると意地になってる部分の方が大きかったりする。

｢ねーねー赤司っち、なんかない？どうすればいいと思う？｣

｢知らない、鬱陶しい、着替えの邪魔をするな｣

バッサリ切り捨てられた。
前々から思ってたけど、みんな俺の扱いヒドくない？そりゃこのなかじゃ一番新入りだけどもいうて同い年だし、もうちょっと優しくというか相談のってくれてもよくない？

｢おーい、赤司。今日のメニューのことなんだが＿＿って黄瀬？何してんだ｣

ガチャりと開くドア。
顔をあげると、虹村主将が立っていた。

｢恋人が相手をしてくれないそうで、落ち込んでいるんですよ。それよりどうしたんですか虹村さん｣

｢相手はしてくれてるっスもん！｣

｢え、えーと……？｣

*

｢彼女を嫉妬させる方法だぁ？｣

｢なんかないっスか、虹村主将！｣

わーん、と虹村主将に泣きつこうとしたら赤司っちに凄い形相で睨まれたので咄嗟に離れた。

｢わかったわかった、ちょっと落ち着け。
んー……、連絡断つとか？お前の場合モテるし、暫く連絡しなきゃ他の奴に取られたとか思うんじゃねーか｣

｢無理っス｣

｢聞いといて即答かよ｣

そう虹村主将が苦笑する。

｢う……スミマセン｣

｢押してダメなら引いてみろっていうしと思ったんだけどなー。改めて考えると案外ムズいもんなんだな、嫉妬させるって｣

｢押してダメなら引いてみろ、か……｣

どう考えても連絡とれないとかA不足で死ぬ気しかしないけど、引いてみるって大事なのかな……

今までの作戦を振り返れば彼女への態度は変えずに何かアクションを起こしていたわけで、もしかしたら｢俺が誰かと一緒に何かをする｣よりも｢俺がAと何かをしない｣っていうほうが効果的なのかもしれない。

｢虹村主将｣

｢んあ？｣

｢……やっぱ、連絡取らないことにするっス｣

｢えっ、そんな無理にしなくてもいいんだぞ？俺はただ思いつきで言っただけっていうか……限度ってもの考えろよ？｣

｢……ハイっス｣



｢……なぁ赤司。俺もしかして要らんこと吹き込んじまったか？｣

｢さぁ？まぁなんとかなるんじゃないですか｣

終わり ログインすれば
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