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「まあ、あれだよね、することしてんだもん。なのに結局選んでくれないとかね、サイテーだっておもうけど、でもほんとうにすきだったから、うん…」
「うん」
「ふふ、その人も一生懸命、わたしのこと考えてくれたのかなって、都合の良いように考えちゃう」
「うん、いいんだよそれで」
「いいのかなあ」
「Aみたいなステキな子目の前にして、怖気付いちゃったんだね、その人は」
「あっ褒めてくれてる〜」
「ほんとうにそう思うよ、俺は」
えへへ、ありがとう、というのと同時に、やっとAは涙を落とした。
「ありきたりな話だよねえ」
「でもAはたくさんすきで、たくさんかなしくて、いまもこうやってたくさん悩んでるんでしょ?」
「ちばぁ、」
「ありきたりなんかじゃなくて、Aの大切な話だね」
「もー!ちばってホントはちゃんといい人なんだもん!やだ!」
「ほんとはってなんだよ、やだってなんだよ!」
詳しい事情はよく分からなかったけど、とにかくAにはすごく好きな人がいて、散々期待させられて、振られたってことだよねたぶん。
酔ってるからなのか話の流れしか分からなくて、状況は掴みにくいけど、Aを泣かしているその男がめちゃくちゃ憎い。
ただ俺は、どういう言葉をかけてAを慰めていいのか、分からない。
「A、」
「ん?」
「これ、みんなに見せても大丈夫?」
「あたりまえじゃーん、サブチャンのつもりではなしてるもん」
「酔ってるからね、今はいいだろうねそりゃあ」
「…ふふ」
「あれ、寝ちゃうの?おーい、A??」
んー?とか、あー、とか、言葉にならない声を微かに出しつつ、Aは机に突っ伏してしまった。とりあえず見せてもいいという了承は酔ってるにしろとれたし、帰ってみんなに見てもらおう。俺だけじゃどうにもならない。どうしたら、Aを今の状態から救ってあげられるのか、分からない。
…俺でよかったね、A。
こんな風に隙だらけで、可愛い姿見せちゃったら、どうにかしちゃうやつらばっかだったよきっと。ヘタレな俺だから、タクシーつかまえて帰るしかできないけどさ。
違うか、俺だから、Aはこんな風になってるんだな。どうにもできない俺だから。
複雑な気持ちだけど、信じてくれてるってことで、手を打つよA。
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定期入れ(プロフ) - はるよさん» コメントありがとうございます!◎あのニコニコしたりょうくんに陰ながらめちゃくちゃやきもきされたい欲が滲み出た文になっちゃってます( ; ; )(笑) (2019年7月15日 15時) (レス) id: 671b98a10b (このIDを非表示/違反報告)
はるよ(プロフ) - いつも楽しく拝見しております。私はりょうくん落ちを希望致します!過保護なりょうくん、、是非付き合ってほしいです!よろしくお願い致します。 (2019年7月14日 21時) (レス) id: 232a961ca6 (このIDを非表示/違反報告)
定期入れ(プロフ) - 怜さん» こちらこそありがとうございます!(^O^)◎そうなんです、りょうくん、正直めちゃくちゃ書きやすいんです(笑)コメント本当にありがとうございます! (2019年7月11日 11時) (レス) id: 671b98a10b (このIDを非表示/違反報告)
怜(プロフ) - 定期入れさん» わざわざありがとうございます! あの溺愛っぷりを見てるとりょうくん落ちがいいです…けど他の方が仰ってるようにともやんもみてみたい…笑 (2019年7月10日 20時) (レス) id: 291ffdfed4 (このIDを非表示/違反報告)
定期入れ(プロフ) - なさん» コメントありがとうございます!更新遅くて申し訳ないです( ; ; )ともやん推し嬉しいです◎ (2019年7月10日 9時) (レス) id: 671b98a10b (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:定期入れ | 作成日時:2019年3月17日 17時