CCG_32 ページ34
.
「こちら平子班、伊東。
喰種一体駆逐完了。一般人の捕食被害者有り。
至急、処理班の派遣を。場所は_______」
頭の中は真っ白なのに、口先は冷静に、体だけは動く。
こんな状況だってのに、もう少し気も動転してくれた方がずっと楽だ。
「…丈さん、処理班への要請できました。
10分かかんないくらいで、来れるみたいっス。」
「そうか。任せてしまって済まない。」
「…_______、」
仕事はいつも通りこなせても、目を背けたくなる現実に言葉を呑んだ。
どんな言葉も今ある現実には不似合いな気がして、ただぎゅっと唇を噛み締めることしかできない俺は、やっぱり情けない。
「Aは______」
「っ、はい」
「傷口の損傷が激しく、出血も多いため…
まだ、助かる見込みはないらしい。」
「そ、スか」
言葉が出てこない。
息を吸うことすら躊躇ってしまいそうな重たい空気。
予め手配していた医療班の応急処置を受けるA。
その痛々しい体を見つめる丈さんの横顔が、苦痛に歪む。
こんなに感情を露わにする丈さんを見たことが無くて、俺達は誰も、「Aなら大丈夫ですよ」なんて無責任な口はきけなかった。
それでも、明日にはいつもみたいにはしゃぎ回ってわがままを言うんじゃないか。
今にも目を開けてなーんちゃって、とケタケタ笑うんじゃないかって。
そう思ってしまうほどに、俺はいつもAに魅力され、期待し、励まされてきたんだろうな。
「応急処置のみですが、このまま近くの病院へ搬送します。付き添いは…」
「俺たちはまだ仕事がある。
…倉元。ついてやってくれるか」
「丈さん」
Aが目を覚ました時、一番にそばにいてほしいと思うのは、きっと。
「俺じゃなくて、丈さんが行ってください。
あとは俺達で、十分スから」
「倉元…」
丈さん。
Aのこと、お願いします。
「…ああ。 こっちは任せたぞ。」
「りょーかい。」
言葉にしても伝わる。
男と男の約束、ってやつッスよ。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 57人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「アニメ」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
ちーかま - 伊東倉元さんめっちゃ好きです。 (2018年10月29日 20時) (
レス) id: 8f9925b559 (このIDを非表示/違反報告)
ゆきんこ(プロフ) - 無花果さん» コメントありがとうございます！ 丈さんの魅力もっと詰め込みたい..ほんとに素敵ですよね！更新、時間を作って頑張りたいと思います(TT)!! (2018年5月2日 0時) (レス) id: 9c73c754f5 (このIDを非表示/違反報告)
無花果(プロフ) - 楽しく読ませてもらってます！丈さんカッコいいです泣更新頑張ってください！ (2018年5月1日 2時) (レス) id: 6686156c61 (このIDを非表示/違反報告)
氷麗(プロフ) - ギオさん» コメントありがとうございます!!とっても嬉しいです… そして伊東倉元好きなお方に出会えて感激です！最高に素晴らしいですよね！魅力をうまく描けるよう頑張ります！(*´∀｀) (2018年4月22日 4時) (レス) id: 9c73c754f5 (このIDを非表示/違反報告)
ギオ(プロフ) - めっちゃ面白いです！高評価とお気に入り失礼します〜伊藤倉元いいですよね!今んところ一番好きなんです! (2018年4月22日 3時) (携帯から) (レス) id: 6572e8ab81 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：ゆきんこ | 作成日時：2018年4月16日 4時
