CCG_10 ページ12
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あれは、ちょうど3年前の今日。
もともとアカデミーの出身でない私は、
あの時はまだ三等捜査官で。
19歳で。喰種、なんてただの駆逐対象で。
遊びみたいな感覚で、ただひたすらに任務をこなした。
「A」
いつも私の名前を呼ぶ、ぶっきらぼうな上官の声。
パッとしないくせに何かと目をつけてくる。
あーあ。また怒られる。めんどうだな。
この人より私の方が、ずっと駆逐数も多いし。
本当に上等捜査官なの?
…なんて。
何にもわかっていなかった、まだ子供だった私。
「なに、やめて、離してよ!!!」
『五月蝿い。暴れんな、クソガキが』
本当に突然、襲われたのだ。
それも、なんてことはないCレートの雑魚喰種。
______クインケはいつも持ち歩け。手錠に繋がれたいのか?
そう平子上等に叱られたことが、
なんとなく頭の中で蘇ったけれど…
もう、どうしようもない。
『喰種捜査官に造形の綺麗なガキがいるから、
攫ってきたら高く買ってやるって話があるんだよ』
『単身、丸腰で歩き回る馬鹿で助かったぜ。』
へへ、と薄汚い笑いを浮かべる喰種。
頭の先から爪の先まで舐めるように見つめられて、
もう本当に、ただただきもちわるくって。
こんな時さえ悲鳴も涙も出ないなんて、私も相当おかしいね。
自嘲してすべてを諦めかけた、その時。
『ぐっ がぁあああああああ』
「?!?!」
『なんでこんなとこに、白鳩が、ぁああああああ』
断末魔。
閉じかけた瞼に映るのは、崩れ落ちる喰種の姿。
その向こうにいるのは、紛れもない。
「平子、上等…」
「言いたいことは山ほどあるが…怪我はないか。」
いつも通りの声色と無表情。
だけどその額には汗が浮かんでいて、
珍しく着崩されたスーツは、
どれだけ急いで来てくれたのかを教えてくれるには十分だった。
「う… 平子、じょうとぉお、うわぁああ」
「…ああ。 間に合って、よかった。」
本当によかった…
最後にポツリ、そう呟いた丈さんの、
安心したような困ったような笑み。
泣きじゃくる私を慣れない手つきで支えてくれた、
あの不器用すぎる優しさを。
私はいつだって、いつまでだって忘れることは出来ないんだ。
「貴方の命令なら、なんでも聞きますよ」
真っ直ぐにこちらを見つめる無愛想な瞳に、そう、答えた。
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ちーかま - 伊東倉元さんめっちゃ好きです。 (2018年10月29日 20時) (レス) id: 8f9925b559 (このIDを非表示/違反報告)
ゆきんこ(プロフ) - 無花果さん» コメントありがとうございます! 丈さんの魅力もっと詰め込みたい..ほんとに素敵ですよね!更新、時間を作って頑張りたいと思います(TT)!! (2018年5月2日 0時) (レス) id: 9c73c754f5 (このIDを非表示/違反報告)
無花果(プロフ) - 楽しく読ませてもらってます!丈さんカッコいいです泣更新頑張ってください! (2018年5月1日 2時) (レス) id: 6686156c61 (このIDを非表示/違反報告)
氷麗(プロフ) - ギオさん» コメントありがとうございます!!とっても嬉しいです… そして伊東倉元好きなお方に出会えて感激です!最高に素晴らしいですよね!魅力をうまく描けるよう頑張ります!(*´∀`) (2018年4月22日 4時) (レス) id: 9c73c754f5 (このIDを非表示/違反報告)
ギオ(プロフ) - めっちゃ面白いです!高評価とお気に入り失礼します〜伊藤倉元いいですよね!今んところ一番好きなんです! (2018年4月22日 3時) (携帯から) (レス) id: 6572e8ab81 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ゆきんこ | 作成日時:2018年4月16日 4時