指導医はオペ室の悪魔4【ブラックペアン】

第163話：睡魔1 ページ18

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「めっちゃ眠い」
「仮眠してきたら？」
「急患来た時に対処できる気がしないです…」


窓の向こう側は藍色が橙色と混ざって溶けかけている。青い青い空が色の隙間から覗いていた。

綺麗な朝焼けだった。Aは目をこすりながら睡魔と闘っている。
見かねた男性の医局員が声をかけたが、Aはそれを受け入れる気はないようだ。

彼女は急患、という言葉に少し身を固くしたものの、医局員がそれを悟る様子もない。

だが、医局員の言うとおり急患はここ数時間ずっと来ていない。

高階の手伝いが終わり次第、彼も世良も「また明日」と言って医局を去って行った。
それからAは溜まっていた仕事をこなし、糸結びを黙々と行い、縫合も黙々と。

実に何もない時間だったといえば何もない時間だった。

急患に至っては「来ない方が良い」、というのがAの本音だ。
人々が健康に生きている証拠である。

それでも性なのかなんなのか、Aにとって退屈は少し苦痛だ。


「おい、A。聞いてるのか？」
「へっ？」


いつの間にか、医局員の姿がAの隣にあった。
ソファに座り込んでいる彼女の顔を、釣り目がちな男が呆れた顔で覗き込んでいた。


「おいおい…しっかりしてくれよ。一眠りしろ。そういう自己管理は自分でやれよ…」
「大丈夫えす！！まぁせてくでふぁい！」
「呂律回ってないぞ」
「まじすか！！ガム買ってきます！！」
「あっ、おい、」


何から逃げているのやら、Aはそさくさと医局を離れていく。

あんなこと言っておいて恥ずかしくないわけないんですよ。とはAの心の叫びである。

数時間前のこととはいえ、唐突に口走ったあの言葉の後に合わせる顔をAは知らない。
なんで引きとめられずにそのままからかわれなかったのか不思議なくらいだ。

あの後、仮眠室から誰かが出てくることはなかった。
聞き耳を立てたりしてみたが、物音もなかったので完全に寝入っていたのだろう。

だから余計に。余計に。恥ずかしい。

あの男が居る仮眠室に、今は、入れない。


(ていうか！この時間まだどこも開いてないっつの！めっちゃ適当なこと抜かしちゃった！)








＝＝作者＝＝

10話見ました。何も語るまい…！ただ、とにかく最高でした…ありがとう…！
ちなみに、原作もいいぞ！という話も勝手にしておきます(笑)

何度もかつしつこいくらい言ってますが、まだまだ小説の方は続きます。
書き切りますよ！(笑)

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