ヘルシンキ症候群#神山

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秘書の仕事にも慣れて、誘拐されたことなんてすっかり忘れたある日


事件は起きた





いつも通り出社して流星さんが出社してくるのを外で待っていると




｢おはようございます流星さん｣


藤｢おはよう｣



｢今日のスケジュールですが…藤｢なぁ｣


｢は、はい…？｣



藤｢明後日って予定入ってへんよな？｣



｢明後日…は、取引先との会議が午後から入ってますが…｣


藤｢なら午前中は空いてるよな？私服買いに行きたいんやけど｣


｢えっ…と午前中は私会議の準備があるので一緒には行けないです｣




流星さんは私の返答に顔をしかめた



機嫌悪い…？








藤｢午前中全部準備に費やすわけやないやろ｣


｢他にもやることは山ほどありますけど…｣




どうしたんだろう…



仕事最優先の流星さんがいきなりこんなことを言うなんて





｢と、とにかくエレベーターに乗りましょう｣



会社の入り口でこんな事をしてたら他の人にも迷惑だ




私と流星さんは2人でエレベーターに乗った







藤｢準備なんて他のやつに頼めばええやん、明後日空けろよ｣



｢私の仕事なので急には無理ですよ…！取引先の方にも迷惑がかかりますし！大事な会議なんですよ!?｣




子供のように駄々をこねる流星さんに頭がきて私は声を荒らげた




すると流星さんは持っていた重たい鞄を私の頬にぶつけた



なにが起こったか分からない私は痛む頬を撫で、呆然としてしまう







藤｢俺の言うことが聞けへんのか…？｣






いつもの優しい流星さんはどこにもいなかった




ただただ怖くて、社長室の階についてもしばらくエレベーターから降りることが出来なかった

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