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「だけど、皆は帰って来なかった。きっと、私のいるこの家の事まで忘れちゃって、どこか別の所にいるんだと思う。……勿論、私の事も綺麗さっぱり忘れてさ。もう本当、家族って何なんだろうって話だよね、ふふっ…くっ…うっ…」

「A…」

遂に溢れ始めた涙に感情も昂り始める。そんな私を心配そうに見詰める太宰さん。だがその太宰さんも、いつ私の事を忘れてしまうか分からないのだ。

「私っ、皆、にっ、忘れられて、さっ。パパ、もっ、ママもっ、蒼太もっ、彩世ちゃん、もっ、私の、事っ、忘れちゃってっ。折角仲良く、なれた、のにっ、国木田っ、さんもっ、敦君、もっ、私の事っ、知らないって。誰だっ、て。寂しいよ…っ。苦しいよ…っ。太宰さんも、きっとっ、いつかはっ、私の事っ、忘れちゃ…………!?」

不意に、太宰さんに力強く抱き締められ、思わず身をすくめる。

もしかして、私が泣いてるからって、慰めようとしてくれているのだろうか。
優しいな、本当に。
良い人だ。誰よりも。

「どうして私、太宰さんと仲良くなったりなんかしちゃったんだろ…」

「…それ、どういう意味?」

「だって私もう、太宰さんの事を失うのが怖くて怖くてたまらない。こうなるかもしれないって事最初っから分かってた筈なのに…あそこで引き返しておけば、こんな思い、しなくて済んだのに…」

なんて神様は意地悪なんだろう。
もしもこの異能力が無ければ、私だってもしかしたら太宰さんと…

「A。」

「…何?」

「私は、君の事を絶対に忘れたりなんかしない。」

「…さっき説明したじゃん。どんなに長く覚えていられたとしても、結局忘れてしまう事に間違いはないの。そんな事、不可能だよ…」

太宰さんの肩に顔を埋めると、彼は私の頭を掴んで、無理矢理顔を上げさせた。

「いたっ……」

「あのね、A。私は君に、1つ言っていなかったことがある。」

ニヤリと悪戯っ子のような顔で微笑を浮かべる太宰さんに、私は首を傾げる。

「言っていなかったこと?」



「私もね、異能力者なんだよ。それも、君にぴったりな異能力だ。」

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設定タグ:夢小説 , 文スト , 太宰治   
作品ジャンル:アニメ
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空ノ寂(プロフ) - 七葉さん» ありがとうございます、とても嬉しいです!これからも、応援よろしくお願いします! (2017年12月4日 0時) (レス) id: 6114dac4c8 (このIDを非表示/違反報告)
七葉 - 凄く面白いです!更新頑張ってください!応援してます! (2017年12月3日 23時) (レス) id: 88ee75b376 (このIDを非表示/違反報告)
空ノ寂(プロフ) - uoxCAnz4DFHXBiTさん» ありがとうございます!!そう言っていただけて光栄ですっ!これからも、応援宜しくお願い致します! (2017年11月12日 22時) (レス) id: 6114dac4c8 (このIDを非表示/違反報告)
uoxCAnz4DFHXBiT(プロフ) - めっちゃ面白い!!! (2017年11月12日 22時) (レス) id: 27924cfedd (このIDを非表示/違反報告)
空ノ寂(プロフ) - 洋梨さん» ありがとうございます(T^T)とても、励みになります!これからも頑張って更新していきますので、応援宜しくお願い致します! (2017年11月11日 23時) (レス) id: 6114dac4c8 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:空ノ寂 | 作成日時:2017年11月5日 15時

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