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しかし、私達は周りから見ると、おそらくただの中年夫婦。
自転車を押している人の横を中年夫婦が立ち漕ぎで抜き去っていく様に、

男「…えっ?マジ?」

女「…ウソ…」

驚き、道を少し開けてくれるカップル。

A「すみません。ありがとうございます。あー!来ないで!絶対に抜かせないから!はぁ、はぁ、はぁ。」

紫耀「あっ、すみません!俺が負けるわけにはいかないから!おりゃー!」

あー!立ち漕ぎに変えてきたな!!
2人で、全力で立ち漕ぎで登り切った。
結果は、デッドヒートの末、ほんのちょっとだけ、紫耀が先に登り切った。

A「はぁ、はぁ、はぁ。ま、負けた…」

紫耀「はぁ、はぁ、はぁ。危なかった…」

散歩中の人達も、何事何だという顔で、私達を見ている。
そりゃそうだ。
中年夫婦が息を切らし、全力の立ち漕ぎで坂を登って来たんだから。
でも、そんな事より、

A「ちょっと、何で抜くの?信じらんない…」
負けたのが気に入らない私。

自転車を押して坂を登っていたカップルがちょうど来た。
今度は、中年夫婦が揉めているもんだから、何事かと、ゆっくりとしたスピードで横を通って行く。

紫耀「えっ?だって、彼女に負けるなんてカッコ悪いじゃん!」

A「彼女に勝たせようとしない方がカッコ悪いじゃん!」
中年夫婦だと思っていたみたいで彼氏、彼女という言葉にビックリしている。思わず、

女「…えっ?」

同じく彼氏のほうも、

男「夫婦じゃないんだ…」

小声で言っている。

紫耀「ですよね?」
いきなり彼氏の方に話し掛けた…

男「えっ??俺ですか?」
まさか、話しかけられるなんて、思ってもいなかったであろう彼氏はビックリしている。

A「やめなよ。すみません、気にせず行って下さい。」
頭を下げて、どうぞ、どうぞと手で促す。

男「あっはい。あの…彼女にいい所見せたいって思うもんですよ、男って。じゃあ。」

そう言って去って行ったカップル。

A「…。そうなの?」

紫耀「そうなの!」

A「ごめんね?」

紫耀「好きだから許す!」

それから、今度はゆっくりと周りの景色を楽しみながら自転車で走った。

自転車を返す前に、係りの人に写真を撮ってもらった。
ベンチに座り、飲み物を飲みながら、写真を見る。

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作者名:ひろみ | 作成日時:2018年11月8日 12時

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