たった2文字 ページ33
紫耀「A、ありがとう。気持ち伝えてくれて。俺も好きだよ。」
笑顔になった紫耀に安心すると、
A「私も好きよ。」
私も好きだと紫耀を見つめ、
またちゃんと伝える事が出来た。
たった2文字。
好きと言う言葉。
それだけなのに、
その言葉が、
こんなにも大事なんだ。
付き合い始めたあの頃も、
私は中々好きだと言えずにいたよね。
偽装恋愛という立場が邪魔して、
好きだとは言えなかったから。
でもあなたは、
どうにかして、
私からの好きって言葉を聞き出そうと、
あの手この手で…
あの時の事を思い出して笑ってしまった。
A「フフ」
そんな私を見て、
紫耀「はぁ…マジで好き」
改めてまた言うと、
抱き締められ、
またキスが始まった。
紫耀とのキスは、
不思議なほど心が満たされていくの。
触れる唇の柔らかさや、
角度を変えるときに溢れる吐息、
舌が絡み合う時の温かさ。
いくら言葉で好きだと伝えても、
伝えてくれても、
こうしてキスをすると、
改めて気持ちが伝わってくるの。
私の気持ちも伝わってる？
伝わってるといいな…
そう思ってキスをしていると、
唇を離され、
耳元で、
紫耀「ハァ…A、今日、やっぱり帰したくないよ…」
そう言われた。
A「私も…帰りたくない。…泊まってもいい？」
そう言った私の言葉に嬉しそうな顔をすると、
紫耀「もちろん！やったー！ヤバイ、嬉しすぎて、どうしていいか分かんなくなってきた！」
A「フフフ。ねぇ？紫耀は明日、何時からなの？」
紫耀「明日はね、実は俺もお休みなの！」
A「そうなの？」
紫耀「うん、そうなの。だから、あのさ、…明日の夜まで一緒にいてくれる？」
あまりにも嬉しそうな紫耀に、
こっちまで嬉しくなる。
A「フフ。うん。」
笑顔でそう言いながら、
この部屋では紫耀の事だけを想うって、
さっきそう言ったのに、
目の前の紫耀には、
笑顔を見せ、
私は凛の事を思っていた…
テーブルの上で光るその指輪を、
紫耀越しに見つめていた…
ごめんね…凛…
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作者名：ひろみ
| 作成日時：2021年8月7日 1時
