切ないキス… ページ31
岸君と神宮寺君は、
紫耀からの、
そろそろ帰ってよ。
というあまりのしつこさに、
しょうがなく帰ることに。
神宮寺「Aさん、またね。紫耀の事、…お願いね。」
その言葉に、
浮気相手じゃなくてって事を言いたいのが分かる。
口には出さないでいてくれるけど、
当然そう思ってるよね。
A「…うん、また。」
岸「Aちゃん、また近いうちに！今度は廉と海人も一緒にね。」
A「…うん。」
永瀬君や海人君は、
私には会いたくないんじゃないかな…
海人君は特に。
大切なお兄ちゃんである紫耀を、
私は傷付けているんだから…
永瀬君だって、
こんな私を軽蔑してるんだろうな…
顔では笑って、
心ではそんなことを思いながら、
2人を見送った。
紫耀「はぁー、やっと2人になれた…」
そう言いながら、
私を抱き締めた。
でも、
紫耀「ん？どうかした？」
何も言わず、
腕も回さない私の顔を覗き込む。
A「ごめんね…」
紫耀「ん？何が？」
A「…ごめんなさい」
紫耀「あー、俺とこんな事してとか言うんでしょー。それで、2番目でごめんとか？もうさ、そんなんどうだっていいから。俺に対して、何も悪いとか思わなくていいって。ね？」
A「紫耀…でも…」
紫耀「何回も言ってるでしょ？Aと会えないとか、そうなる事の方が無理だって。だからこれでいいんだって。分かってよ…」
A「うん…」
紫耀「よし！もうこの話しは終わり！」
目の前の、
笑顔の紫耀に、
胸が痛む。
そして、
さっき聞いた、
宙を歌う時の紫耀の話しを思い出し、
また胸が痛くて、
苦しくて、
A「…ねぇ、どうしたらいい？」
そんなこと聞いても、
どうする事も出来ないって分かってるのに…
凛も紫耀も捨てれないのに…
紫耀「…言ったら、その通りしてくれるの？」
私の手に手を重ねると、
強く握り締め、
左手の指輪を抜き取られた。
紫耀「俺だけを見てよ…。俺を選んでよ…」
そう言って、
涙が溢れ落ちた…
好きな人を傷付けて、
泣かせてまで何やってるんだろう…
もう全部捨ててしまえたらいいのに…
A「紫耀…」
紫耀「だから、この話しはもうお終りって言ったのに…。困らせるだけって分かってるから…。でもさ、この指輪、この部屋では外しててくれない？お願い…」
A「分かった…ごめんね」
テーブルの上に置かれた指輪。
その指輪を横に、
キスをしたの。
涙の味がする、
切ないキスを…
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作者名：ひろみ
| 作成日時：2021年8月7日 1時
