構わないで… ページ50
A「すみません…グスッ…、フッ…」
中村さん「ううん、いいのよ？ツライ時には沢山泣いた方がいいわ。我慢せずに泣いていいのよ？」
A「はい…」
中村さんは、
別れの選択をした私に、
別れ話を深く聞くこともなく、
ただ、私が落ち着くまで待っててくれた。
A「すみません…」
中村さん「ううん。少しは泣いてスッキリ出来た？ねぇ、聞いていい？この事社長には？」
A「はい、お電話で。実はマネージャーを９月迄で辞めさせていただく事になりました。コンサートが終わったらって事で。でも、もうマンションは出ました。隣に住むのはツライので…」
中村さん「そうなの…。本当にいいのね？」
A「はい。」
これでいいの。
いずれ別れが来るって、
こうなるって分かってたんだから。
中村さん「分かった。Aちゃんがそう決めたなら、もう何も言わない。けれど、辞めちゃうのね…寂しくなっちゃうわ。そっかぁ…」
私も中村さんに会えなくなるのは悲しい…
東京でママと瞳ちゃんの次に出来た、
信頼できる人だったから。
A「ありがとうございます。私も凄く寂しくなっちゃいます。辞めてからも会ってくれますか？」
中村さん「当たり前じゃない。もう、娘のように思ってるんだからね？とにかく辞めてどうするのか心配だし、どこでどう生きていくのか決まったら、ちゃんと知らせてね？」
A「はい…」
中村さんと話しを終え、
レッスン室へ。
また泣いてしまったから、
伊達メガネでも、
泣いた後だって、
隠し切れてないのは分かってるけれど、
仕事だから仕方がない。
出来るだけ下を向き、
後ろの方でひっそりとしておこう。
そう決め、
深呼吸をして、
どうにか気持ちを落ち着かせ、
意を決してレッスン室へそっと入った。
すぐそばにある椅子へ座ると、
手帳を開き、
書き込むフリなんてしながら、
前を見る事なく、
下を向いていた。
しばらくすると、
「いやー、疲れた。隣いい？ちょっと休憩。」
そう頭の上から声が聞こえると、
誰かが隣に座って来た…
神宮寺君だ…
顔を上げる事なく、
A「ダメ…。」
そう言った。
お願いだから構わないで…
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作者名：ひろみ
| 作成日時：2020年2月2日 10時
