諦めの心 ページ27
仕事が終わり、
誰もいない部屋へ帰って来た。
紫耀の部屋ではなく、
隣の社長さんが用意してくれた部屋へ。
紫耀は今日もきっと私よりも早くに仕事が終わっているはず。
もう帰って来ているのかな?
それとも、
私と会わないように、
どこか行ってしまったかな…
今日も帰って来ないのかも…
紫耀の部屋の玄関前で立ち止まり、
中々キーを解除出来ずに、
立ち尽くしていた。
そして、
そのドアを開ける事なく、
隣のこの部屋へ帰って来たの。
ベランダへ出て、
夜空を見上げる。
やっぱり今日も、
星も見えず、
変に明るい東京の夜空。
どこまでも続く街の灯り。
ふいに私の中で鳴り始める曲。
口をついて出そうになる歌。
それを慌ててやめた。
そして、
目の前の景色を何の感情もなく、
ただボンヤリと見つめていた。
どのくらいそうしていたのかな…
背後でカーテンが開けられる音がして、
振り向いた。
するとそこには、
息を切らした紫耀が立っていた。
窓が開けられ、
紫耀「はぁ…はぁ、はぁ…。全然帰ってこないし、電話も出ないし…。岸君に聞いたら、もう2時間も前に送ってもらったって…」
A「ごめんね?今から帰ろうと思ってたの。」
紫耀の横を通り過ぎ、
部屋に入りながら、
そんな嘘をついた。
帰るつもりなんて無かったのに…
でも、そんな事を言ったら、
また喧嘩になるだけ。
やっぱり、
私は私を変えられない。
隠さずに感情を見せて、
話しをするって決めたんだけどね…
私にはそんな事出来なかった。
やっぱり感情を隠して、
作り笑顔を作るの。
1人そんな事を思いながら、
フッと笑うと、
紫耀「…帰ってきたくなかったの?」
力なくそう言う紫耀は、
俯いていた。
A「…だって…」
それだけで言葉が詰まってしまった。
どうせまた話しを聞いてはくれないんだから。
そんな諦めの心がここ数日で育ってしまった。
紫耀「…だって、何?」
A「ううん。帰ろう?」
バッグを手に取り、
玄関に向かおうとすると、
紫耀「…あの、Aが好きな歌。」
それだけ言って、
紫耀がソファーに座った。
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作者名:ひろみ | 作成日時:2020年2月2日 10時