Contract love ～偽装恋愛～ 14 (ページ27)

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紫耀side 不安ページ27

俺が悪い…
それは分かってる。
仕事とはいえ、
橋本さんに、
少しだけ気持ちが持っていかれたんだ。
それだけでも申し訳ないと思ってるのに、
俺はそれをAに
馬鹿みたいに言ってしまう所だった。

ずっと、
ずっと後ろめたい気持ちがあった。
俺は自分が楽になりたかっただけだったんだよ…
本当に最低だな…

神宮寺と一緒にいたら、
俺と同じようにAは、
神宮寺に気持ちを
持っていかれるんじゃないかって、
そんな不安に襲われて、
自分と同じ事になるじゃないかって思い込んでさ…

感が鋭いAは、
俺が取り返しのつかない言葉を発する前に、
冷静に、
今は一緒にいない方がいいって判断したのに。

それなのに、
また感情的になってしまった俺は、
傷付けたAに、
優しい言葉を掛けるどころか、

もういいよ…

なんて、
そんな冷たい言葉しかかける事が出来なかった…

俺には涙を見せなかったA。
そんな所がAらしくて、
苦しくて、
寂しかった。

でも、
閉まる玄関ドアの奥、
靴を履いて、
部屋を出た瞬間、
多分泣いてたんだろう、
肩が震えていた気がした。

咄嗟に追いかけようとして
2、3歩出た足。
でも、
自分の不甲斐なさに、
追えなかった…
Aの言う通り、
今は一緒にいない方がいいんだ。
こんな俺だと、
また傷付けてしまうから…
その時は、
本当に取り返しの付かない事になってしまうかもしれなくて、
恐くて、
リビングへ引き返した。

気が付けば朝。
Aはどうしてるかな…
お願いだから、
俺から離れていかないで…
もっと大人になるから。

迎えの車が来て、
サングラスをして事務所へ。

池田「…おーい！着いたぞ。」

紫耀「っえ？？あっ、はい。ありがとうございます…」

池田「どうかしたのか？」

紫耀「いえ……」

頭の中はAのことでいっぱいで、
何を話しかけられても上の空。
今日は全員でレッスンだから、
Aもここへ来る。
どんな顔して会おう…
不安だけが大きく膨らんでいった。