怒らせてしまった… ページ48
「じゃあ、次は俺ね？」
「えー…」
聞かれる事が怖い。
答えられないから…
「不公平じゃん！」
「分かった…」
「誕生日は？」
「…365日のうちのいつか。」
「…は？」
「…365日のうちのいつか。」
私の情報は、出来るだけあなたには知られたくない…
「いや、いや。そうじゃなくて…何で？誕生日さえも教えてくれないん？」
「……。」
ごめんなさい…
「もういいよ…」
そう言って、ベッドから出て部屋を出て行ってしまった。
どうすればいいのだろう…
私はいずれあなたから去る身。
あなたが私を探そうとしてくれるかは分からない。探そうとしないかもしれない。
それは分からないけど、何となく、私の情報を教えるのは躊躇ってしまう…
でも、こんなんじゃ、あなたに愛想尽かされてしまう。
それでは、元も子もない。
どう接して行けばいいのか、もう、本当に分からない…
「はぁ…」
ベランダへ出た。
朝特有の、ピンとした空気が私を包む。
もうすっかり一日が始まっていた。
手すりから少し顔を出し、下を見ると行き交う車や人達。
今日も仕事の人、お休みで朝から休みを満喫しようとしている人。
それぞれに、みんな慌ただしく行き交っている。
「はぁ…。どうしよう…」
怒らせてしまった…
呆れられてしまったかな…
何でもっと上手く出来ないんだろう…
上手く交わす方法はいくらでもあったはず…
でも、あなたに嘘は付きたくない…
もう、こんな面倒臭い女は嫌だと思っただろうな…
見上げた空は、この季節らしく空が高い。
珍しく雲もなく晴れ渡っていた。
私とは正反対な空。
部屋の中に入り、黙々と掃除や洗濯などをこなした。
それでも、頭から離れない最後のあなたの顔…
悲しそうな、でも、怒りの表情だった…
このまま終わりなのかな…
急に悲しくなって来てしまった。
このまま会えなくなってもいいの？
あなたの声や、言葉、表情、優しさ、身体…
全てが私をこんなにも埋めつくしてしまっているのに…
こんなこと考えてしまうのは、
あなたの事を好きになってしまったから…
分かっていても、どうしていいのか分からず、
床にしゃがみ込んだまま、時間だけが過ぎて行った…
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作者名：ひろみ
| 作成日時：2018年11月18日 22時
