好き ページ28
さすがに苦しくなり離れた私。
名残惜しそうにまた唇を追いかけてくる彼。
もう押し倒されそうだ…
現に今も胸に手が…
今日は話をするんでしょ？
どうにか離れると、
「はぁ…。はぁ、はぁ…。だぁー！！ヤバい！我慢っ…。我慢っ…。」
必死に耐えている彼。
「…フフフ。笑」
「…ひどい…」
「話をするんでしょ？」
「…うん。する。だから、今日はしない。」
素直だな…
今日は、なんだね。
という事は、そういう行為をする関係になるって事なんだよね？
私の事、どう思ってるんだろ…
聞きたいけど、怖い…
ましてや、私が本気になってしまうなんて…
契約違反…
そうよ。ダメなの。
「…何から話す？」
どうにか落ち着いた様子の彼に聞いてみた。
私はずるいから、自分の聞きたいことは聞かないの。
「じゃあ、まずはじめに。俺はAが好き！だから、俺の彼女になって欲しい。」
えっ？
私の手を握りながら、そんな事を言った彼。
「…えっ？」
「えっ？」
「…彼女？」
「うん。Aは、俺の事…どう思ってる？」
「えっ？あなたの事を？」
「だから、紫耀！！そうか…俺の片想いか…。分かった。俺の事を好きになってもらえるように頑張るから。」
勘違いされたけど、これでいいの。
そういう契約だから。
黙る私に、彼は質問を続ける。
「あと、1番聞きたいこと！昼間は何してるの？今日は遅くまで帰らなかったし、何してたの？」
「…そんなに知りたいの？笑」
「当たり前じゃん！好きな人が自分の知らない所で何してるのかってめちゃくちゃ気になる！」
好きな人か…
「昨日は、アパートに荷物取りに行った後、買い物。今日は、銀行に行って、それから、新しい職場に行って、夜は歓迎会をしてもらった。聞いても、つまらないでしょ？」
「そんなわけないじゃん！聞きたいこと大ありだし！アパートってどこ？」
「…その辺。」
何て説明すればいいの？
「もう！！ちゃんと答えて！」
「そんなの知らなくてもいいんじゃないの？私はここに居るんだし。」
「じゃあ、アパートは引き払うの？」
「ううん。」
「やっぱり住所教えて！」
「やだよ。」
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作者名：ひろみ
| 作成日時：2018年11月18日 22時
