入金 ページ20
翌日、8畳の部屋にベッドとチェストが届いた。
これで、やっとベッドで寝れる。
チェストの上に、写真立てを置いた。
「…私って、悲しそうに笑うんだって…。」
両親に挟まれて写る写真の中の私も笑っている。
こんな笑顔はもう出来ないのかな…
今日で、また1つ区切りがつく。
少しでもこの頃のような私に慣れたらな…
出掛ける準備をして、部屋を出た。
向かった先は、銀行。
…しっかりと入金されていた。
これで、良かったの？
いや、もう今更そんな事考えても意味が無い…
窓口に行き、別の銀行へ送金を。
金額が凄いから、時間が掛かるみたい。
その間に、外へ出て社長さんへ電話をする。
「…もしもし？」
「今、お電話大丈夫でしょうか？」
「うん。大丈夫だよ。」
「入金ありがとうございました。今、送金をしてもらっている所です。本当にありがとうございました。それと、余分に入金されていたんですが…」
「これまで、大変だったね。でも、もう肩の荷が下りたんだし、良かったね。でも、3年間はまだ自由にはならないけどね？余分に入金したお金は、生活費だから。遠慮なく受け取ってね？家賃は払ってあげるけど、その他の生活費は、その中でやりくりしてね？」
「生活費まで…本当にありがとうございます。これまで先の見えない人生だったのが、3年後に光が見えたんです。本当に有難いです。」
「そうだね。ところで、仲良くやっていけそう？」
「そうですね。会いに来てくれてますし、仲良くなっていけてると思います。」
「そうかそうか。これからも、よろしくね？」
「はい。こちらこそよろしくお願いします。あの、仕事の件はどうなりますか？」
「やっぱり働くんだね？」
「はい。」
「そうか。君らしいね。じゃあ、今日これから事務所に来れる？」
「分かりました。伺います。」
電話を切り、戻るとちょうど順番だった。
全ての手続きが終わった…。
銀行から出て、サングラスを掛け、
また、空を見上げた。
今日も眩しいな…。
「はぁ…。終わったけど、始まりなんだよね…。3年…。」
3年後、全てが終わった後、私は何をしているんだろうか…
本当の笑顔で笑えるような私になれたらいいな…
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作者名：ひろみ
| 作成日時：2018年11月18日 22時
