教えない ページ14
「何か気になる事あるの？」
「今日、見掛けたって言ったじゃん？その時、俺ね、車の窓を開けて声を掛けようってしたんだよ。でも、掛けれなかった…」
「そう。いいんじゃないかなそれで。」
私達はそういう関係でしょ？
「いや、なんて言うのかな…。眩しそうに空を見上げてると思ったら、サングラスを掛けて、それで何か呟いて、…笑ってた。笑ってたけど、悲しそうだった…。」
ドキッとした。
「そんな事ないよ？」
「うーん、なんて言っていいのかな…。とにかく気になって…。なんて呟いてたの？」
「忘れちゃった…笑」
…私にはこれがちょうどいい…
こんな事言って、こんな風に思って過ごしている私の事なんか知らなくていい。
「ほら！また、その顔！笑いながら、泣きそうやん…」
やめて…
私の中を、心の中を探ろうとしないで…
「気のせいだって。ほら、明日もお仕事なんでしょ？」
「そうやけど…。あっ、俺の事帰らせようってしてる？」
「うん。してる。笑」
「じゃあ、帰らない！」
子どもなの？笑
ソファーに寝転んだまま、テレビを付けて見始めた。
不思議な人だな…
「ねぇ？A？」
「何？」
名前を呼んでくれるんだね…
私は呼ばないと決めたけど…
「明日は何するの？」
視線はテレビを観たまま、そう聞いてくる。
何で私の行動を知りたいんだろ？
「教えない…笑」
「何でー！！！」
ソファーから起き上がって、じたばたしてる。
「アハハハ！」
「何で教えてくれないん？」
「何で教えないといけないの？」
逆に聞いてみた。
「えっ？だって…。知りたいと思ったから。」
そんな事を言わないで…
勘違いしそうになるでしょ…
「……やっぱり教えない。絶っ対に教えない。笑」
「だぁー！！何でー！！」
「アハハハ！」
「そもそも、Aって、俺を癒してくれるんじゃないの？」
「それは、時と場合による。笑」
「おちょくられて、全然癒されないんやけど…」
流石だね君は。
拗ねた感じも可愛い。
仕事柄なのかな？
自分の見せ方、甘え方を分かってるんだ。
でも、私は心を持って行かれないよ？
「じゃあ、帰ればいいじゃない。笑」
「だぁー！！なんだよもー！！このまま帰っても、気になって…寝れない！泣きそうに笑うし…、予定も、何して過ごしてたかも何も教えてくれないし…」
「私の事なんて、気にしないでいいの。ね？大丈夫。」
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作者名：ひろみ
| 作成日時：2018年11月18日 22時
