0/白い彼 ページ1
少し先のとある未来の、とある国
科学技術や通信技術が発達したその国では、人間同士の関係が今よりもさらに希薄になり、人々は孤独、悩みを一人で抱えながら生きるようになっていた
弱音を零す相手も、幸せを分かち合う相手も見つけにくい世界
そんな社会情勢を受けて、人々が抱える悩みや苦しみを手軽に解消できるようにと開発されたのが
『Rental Communication Assist Android』＿＿＿＿通称レンカロイド。
レンカロイドの登場により、その国ではアンドロイドをレンタルし、自分好みにカスタマイズして生活を共にすることが普及し、アンドロイド産業が飛躍的に発達した。
＿＿＿白い髪を僅かに揺らして微笑む彼を見て、私は授業で習ったことを思い出していた
「レンカ、ロイド？」
「はじめまして、マスター。僕はボーカルタイプのレンカロイドです」
ニコリと笑って私の傍に来た彼は深く頭を下げて、言葉を続ける
「これからマスターの身の回りの世話や日常生活をサポートするために頑張りますね」
「マスターって…私？」
「えぇ＿＿…え、柊A様ですよね？」
「は、はい。そうですけど」
「そうですよね。レンカロイド社が運送を間違えるわけが無いですし…」
そう言ってよかったと一息つく彼。彼の一言で静まる空間に変に心臓が鳴った
話すことはただでさえ苦手なのに急に来たアンドロイドの対応なんて…無理
こっそりと彼の赤い瞳を見ると、彼も私を私を見ていたようで視線が重なり合う
「！？あ、えっと…と、とりあえず僕の入っていた箱片付けますか！」
「は、はい」
慌てて自身の入っていたダンボールを片付ける彼は本当に人間のようだった
続く
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