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緋山side
エレベーターが開くと、そこに居たのは橘先生だった。
緋山「お疲れ様です。良かったですね、ドナー見つかって。
これから転院搬送ですか?」
橘「・・・」
緋山「どうかしたんですか?」
橘先生は、窮地に立たされたような顔で私を見つめ、話し始めた。
* *
緋山「そんなの真に受けてどうするんですか?
今すぐ、移植承諾の連絡をすべきです!!
今回逃したら、またいつ臓器が見つかるか分からないんですよ?!」
橘「分かってるよ!」
いつもよりも速い足取りで、橘先生の横に並んで歩いていたが、それはだんだんと失速した。
橘「そんなのは...俺達が一番よくわかっている。
でもな...実際に移植を受けるのは、優輔なんだ。
移植後も、厳しい治療はずーっと続く。
人の命を貰ったという責任も重い。
その上...あいつがずーっと後悔したまま生きていくと思うと、
あまりにも.....つらい。」
橘先生の言いたいことは、わからない訳では無い。
患者の家族にしか分からないことだって沢山ある。
それに───大切な人が傷つくのは、つらいんだ。
だからこそ、私は優輔くんが移植を受けるべきだと思う。
緋山「...何言ってるんですか?
親が子供を信じなくてどうするんですか?
私が患者の家族に訴えられかけたとき、なんて言ってくれたか覚えてますか?
患者が怖くてどうしようもなかった私に、言ってくれたんです。」
───お前のやったことは間違いじゃない。
───逃げるな、緋山!
緋山「“逃げるな。オペをしろ”って。
あの時橘先生は、私以上に、私を信じてくれました。
優輔くんはいずれ、必ず理解します。橘先生の気持ちを。」
そう言うと、橘先生はひとり、前へ歩き出した。
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凛香 - 全部読んでます!大好きです!更新頑張ってください! (2017年9月16日 18時) (レス) id: ffe17b2f3c (このIDを非表示/違反報告)
そーちゃ(プロフ) - 一気にシリーズ読ませていただきました(^-^)/ 続きが気になっちゃって気になっちゃって…笑 Twitterもフォローさせていただきました♪またの更新楽しみにしてます! (2017年9月15日 15時) (レス) id: 1963c14c3b (このIDを非表示/違反報告)
重丈 唯羽(プロフ) - 青い鳥の方フォローさせて頂きました! (2017年9月14日 8時) (レス) id: 9e8fde76ab (このIDを非表示/違反報告)
あいか(プロフ) - この後の展開が少し気になるので更新頑張ってください!!最後まで書けるのを応援しています!!! (2017年9月12日 12時) (レス) id: 1722f61193 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:なつ | 作成日時:2017年9月11日 21時