血 (ページ1)

今日:1 hit、昨日:0 hit、合計:15,224 hit

1 ページ1

.

『オッパ人使い荒すぎでしょ、もうっ』

夜中に1人、小声で文句を零すのには理由がある。

オッパに内緒で食べたアイスがない事に気が付かれて、買って来いと言われた。

勿論嫌だとは言ったが、行かなきゃ防弾少年団のCDを割るなんてガチの目をしながら言うもんだから嫌々アイスを買った。

こんな暗い中女子高生に1人でお使いさせるなんて、酷すぎる話だ。
しかも私の大好きな防弾少年団のCDを人質にするなんてどんだけアイス好きなのよ。

袋をブンブン振りながら歩いていると、ふと目に入った何時もの公園。

ブランコやら滑り台やら沢山遊具があって、近所の子供には大人気の遊び場だ。

でも何時もと何処か違う。

雰囲気が…暗いと言うか、なんというか

何かある
そう思ったら、自然と足は動いていた。

恐る恐る近づくと聞こえてくる女の人と男の人の声

「ここではダメだよ…恥ずかしいっ」
「大丈夫だよ、誰も見てないから…安心して」

思わず固まった。

こんな所でなんてことしてるのよ…

呆れて鼻で息を吐いて帰ろうとひらを返した時だった

不気味な音が聞こえたのは

「ゔ、あっ、いだ、いだいいいっ、んんん！んん！！」
「あ～煩いな、バレたらヤバイんだから。それに、黙ってくれなきゃ食事に集中できないでしょ」

バキッと鈍い音がすると、さっきまで苦しそうに喚いていた女性の声は一切聞こえなくなった。

帰りたいのに、足が動かない。
恐怖で吐きそうだった。

背後から聞こえてくる、食事らしいその音に恐怖は増すばかりだ。

やっと足が動いたと思ったら、震えていたせいで足が絡まって転けてしまった。

アイスの入った袋も一緒に転がる。

「誰？」

聞いた事のある低い声に全身鳥肌が立った。

もしかして…
いや、あり得ない。だってあの人は王子様みたいな人だもん、違う…きっと違う。

「あれ、また女の子、ラッキー」

ぎこちなく首を後ろにやると、口だけでなく服にも血を付けたあの防弾少年団のテヒョンがいた。

街頭に照らされた彼は綺麗だけど、今の私には恐怖にしか感じられなかった。

.