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守るべきもの きみたか ページ44

「ふぅ。疲れたわぁ」

下から戻ってきて一息ついて。
信五がソファーにごろんと横になった。

膝枕して。
珍しいおねだり。
どっちかって言うと俺の方がしてもらいがち。

俺の腿に頭乗っけてきたから
ゆっくりと撫でてやる。

「なぁ、ここの部屋のことなんやけど」
唐突に信五が切り出した。

「やっぱり賃貸の契約やめて買い上げんか?」
前から話してたこと。
俺が本格的にここへ移った時から考えてた。

「俺はええけどナンボするん」
って聞いたら思ったよりも・・・やな。
ふたりならなんとかならんことはない。

「俺はええけど、信五はどう思うん?」
「俺はここが気に入ってるからな。
アンタが良ければ、と思ってる」
「なら、話進めよか?」
「おん。ありがとな」

共同名義でマンションを買う。
俺らの覚悟の現れのひとつ。
ここで根を張ってふたりで生きていくことの証。

「アンタはどこにも行かんでくれるってことやね?」
「アホ。他にどこ行くねん」

目ぇ閉じた信五の長いまつ毛が濡れてる。

「大丈夫やって」

どこも行かんから。
流れてきた涙にキスしたら

「愛してん」

信五の震える声。

「アイツの笑顔見たら
それぞれ好きに生きればええと思ったけど
アンタだけはどこにも行かんで欲しい」

俺のエゴやな。
そう言うた信五の目ぇからまた涙が溢れた。

「俺の居場所はここしかないよ」

お前の隣。メンバー挟んだ端と端。
俺らの立ち位置。

揺るがない
俺らの

『場所』

こっから旅立つヤツがいたとしても
俺らはここで生きていくから。
ふたりだけになっても
俺らの場所は変わらない。
最後の最後まで信五が看板背負って立つなら
俺はその隣に立って支えてく。

「愛してるよ」
「おん。愛してる」

チリンと鈴の音。
チーちゃんの気配。
足元に小さなぬくもり。

せやな。チーちゃんも。

俺はここにおる。
ここで守る。

俺の家族を。

作者より→←ワンクール ゆう



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cayochi(プロフ) - ウメちゃんさん» ありがとうございます。楽しみにしてくださる方がいるなんて、本当に幸せです! (2019年3月28日 23時) (レス) id: e43f968c2a (このIDを非表示/違反報告)
ウメちゃん(プロフ) - ぜひ、まだまだ続けてください!楽しみで仕方がないので(*´∇`*) (2019年3月27日 17時) (レス) id: 222b67b008 (このIDを非表示/違反報告)
cayochi(プロフ) - じゅんじゅさん» コメントありがとうございます。私昔からあの曲大好きだったので、どうしてもどこかでお話に使いたくなりまして。番組でしみじみ聞いていた横山さんに昔の恋を思い出してモもらいました(笑) (2019年3月12日 1時) (レス) id: e43f968c2a (このIDを非表示/違反報告)
じゅんじゅ(プロフ) - はじめまして。いつも楽しみに読ませていただいています。大江千里さんのRainですね。あの曲を思い出しながらもう一度読ませていただきました。 (2019年3月11日 2時) (レス) id: fea29e1eac (このIDを非表示/違反報告)
cayochi(プロフ) - (名前)ゆーきゃんさん» ふふふ。私も気になります(笑)雛ちゃん、本当に誉めて伸ばすのが上手!みんな雛ちゃんから誉められるとめっちゃ嬉しそうですし。ついつい余計なこと言っちゃいますよねぇ。雛ちゃん見習わなきゃ!ですね。 (2019年2月25日 15時) (レス) id: e43f968c2a (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:cayochi | 作成日時:2018年12月31日 18時

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